Yakult1000だけじゃない!ヤクルトの売上4割超を稼ぐ海外事業「成功の秘密」写真はイメージです Photo:PIXTA

睡眠の質を高める効果をうたう『Yakult1000』が大ブームのヤクルト。ヤクルト本社は2022年11月、今年度第2四半期の決算で売上高、当期純利益ともに過去最高を更新し、通期の業績予想も上方修正しました。実はこの好業績にはYakult1000のヒットだけではなく、同社の海外事業が大きく貢献しています。売上比率の4割を超えるヤクルト海外事業の成功の秘訣はどこにあるのでしょうか?ヤクルトのグローバル化戦略を分析します。(グロービス・コーポレート・エデュケーション ディレクター 松村真美子)

ヤクルトは世界40カ国で
1日約4210万本売れている

 ヤクルトが初めて海外へ進出したのは1964年の台湾です。その後、中南米、アジア、欧州、北米とネットワークを広げていきました。現在では日本を含む40の国と地域で、1日平均約4210万本(国内約1080万本、海外約3130万本)のヤクルトが販売されています。

 一般的に食品や飲料は地域ごとの嗜好(しこう)性が強く、海外展開は難しいといわれています。日本政策金融公庫の調査によると食品メーカーの中で既に海外輸出に取り組んでいるところは3割超、今後取り組みたいところを含めると5割を超えますが(22年度データ)、実際に海外での売上比率が20%を超えているところはわずか5.2%しかありません(20年度データ)。

 ヤクルトの22年度の海外売上比率は45%ですので、同社は業界の中では稀有な成功を収めていることがよく分かります。