写真:侍ジャパンのWBC優勝の瞬間WBC優勝を決め、喜びを爆発させる侍ジャパン Photo:AFP=JIJI

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での日本の優勝は、国際競争力を失いつつある日本経済に示唆を与えるものだ。スポーツでも芸術でもビジネスでも、世界で活躍する人材になるには競争の中での切磋琢磨が不可欠だ。WBCの教訓として、「競争の重要性」を見直すべきではないか。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

WBC優勝で見せつけた
昭和の野球にサヨウナラ!

 先日閉幕し、「侍ジャパン」こと日本代表チームが優勝を飾ったWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、久しぶりに日本中を沸き立たせるイベントだった。個々の選手の活躍も、シリーズ全体と個々の試合を通じたストーリーも、まるで日本人を感動させるために作ったようだった。

「世界一」とはいいものだ。異様なまでにオリンピックが好きな日本人にとっては大好物だ。自分で野球をしているわけではなくとも、「日本人は、できる!」と自信のような気分を得た国民が多かったのではないか。

 今回のWBCは、始まる前も含めて爽やかだった。例えば大谷翔平選手の「二刀流」に文句を言いたがるような、昭和の野球の重鎮たちが背景に遠のいて、新しい時代の野球人が躍動した。

 代表チームのマネジメントにも見るべき点があった。チーム名に監督の名前を頂いて「○○ジャパン」と呼ばれ、上意下達の体育会式、もっと正確に言うと軍隊式の運営が行われる「昭和のプロ野球チーム」ではなかった。