野球の世界一を決める「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)が2023年3月、6年ぶりに開催される。侍ジャパンは14年ぶりの世界一奪還なるのか!?特集『総予測2023』の本稿では、前回大会で代表を率いた小久保裕紀氏に勝負の鍵を直撃した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
小久保氏が考える「ベスト9」とは?
優勝の鍵は投手の起用法にあり!
――前回2017年大会では、準決勝で米国に惜敗(1-2で敗戦)しました。連覇を狙う米国は、主将のマイク・トラウト選手をはじめ、メジャーリーグのスター選手が多く参戦して豪華な陣容となりそうです。やはり最大の宿敵は米国でしょうか。
米国は無論強敵ですが、まずはそれより、予選組プールBをいかに勝ち上がるかが大前提です。
恐らく中国には負けないでしょうが、22年11月に2試合戦ったオーストラリア(8-1、9-0で日本が勝利)も、本番はどういう雰囲気になるか分かりません。
韓国は出遅れも指摘されますが、本選はどんなチームに仕上げてくるか。チェコは得体が知れない存在です。順当にいけば1位通過が狙えますが、周りが思うほど簡単なことではないですよ。
他の組では、プールDが激戦区ですね。プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国のどこが来ても強敵ぞろいだと思います。
――14年ぶりの世界一奪還に向け、どう戦うべきでしょうか。
打線の組み方は当然、大事になりますね。僕が率いたときは当初、日本の強みは「(盗塁などの)走れる作戦」にあると考えてチームを編成していました。
ただ、いざふたを開けると、国際大会はクイック(モーション)のルールが異なり、日本のように完全停止しなくてもボークを取られないんですね。左腕の投手も(日本の基準では)ほぼボークと思えるようなけん制球を投げてくるし、その中で盗塁を行うのはほぼ不可能だと分かりました。
そこでWBC本番では、走ることは全然頭に入れず、長打が狙える打線にしました。実際、日本が(準決勝まで)6連勝したのも打ち勝ったような試合が多かったですね。大リーグ仕様のボールとはいえ、ホームランもたくさん出ました。今回も前回と同様、(相対的に狭い)東京ドームが主戦場となる中でどう戦うかは重要です。
――現時点で考える侍ジャパンの「ベスト9」とは。
次ページでは、前回WBC(2017年)で代表チームを率いた小久保氏が考える、侍ジャパンの「ベスト9」を図表にて具体名で開陳。さらに、同氏は世界一奪還を目指すうえで投手の起用法が「一番のポイント」と語り、中でもある戦略の成否が最重要になるとの見方を明らかにした。これらの内容を、一挙に明かしていこう。