留置所写真はイメージです Photo:PIXTA

スパイ容疑により
多くの日本人を摘発

 大手製薬メーカー、アステラス製薬の社員である50代日本人男性が「反スパイ法」に違反した疑いがあるとして、中国国家安全局によって、日本への帰国直前に拘束され、中国外務省がその事実を認めた。

 この男性は、中国に進出する日系企業の団体「中国日本商会」の幹部を務めたこともあるベテラン駐在員であるという。

 この件に関し、中国の外務省報道官は、「本人はどのような違法行為をしたのかよく知っているはず。日本国民の類似事件がしばしば発生しており、日本は自国民に対する教育や注意を強化すべきだ」とコメントしている。日本政府としては、林芳正外相が4月1~2日に急きょ訪中することを予定しており、日中での解決に向けた動きが速やかに進展することが望まれる。

 中国は2014年に「反スパイ法」を制定。これまでに17人の日本人がスパイ活動への関与を疑われ拘束された。そのうち1人が病死し、11人は刑期を終えるなどして帰国しているが、今回拘束された日本人男性を含め5人がいまだに拘束されている。

 いずれも、具体的な容疑は謎のままである。というのも、スパイ事案において、中国は「国家機密」を理由に容疑内容や裁判などの司法手続きを非公開にする場合が多い。

 今回もその容疑内容は不明であり、スパイ容疑という性質上、中国は非常に抽象的な発表に終始しており、中国政府による“恣意的”な法運用であったと推認される。