「終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人」が、「必ず定時で帰るのに成績No.1の人」に変わるためには、どうしたらいいのだろう?
そんな悩みへの実践的な解決策が、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』では見事に解説されている。
著者は、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏だ。
本書はベストセラーとなっている、多くの経営者からも評判の一冊だ。TBSテレビ系『がっちりマンデー!!』のSNSでは「食べチョク」秋元里奈代表が、「2022年に読んだオススメ本3選」として本書を紹介した。木下氏は、秋元代表にとって尊敬する経営者の一人だという。
そこで本連載では、多くのビジネス書を読み、経営の勉強をしてきたという秋元代表に、『時間最短化・成果最大化の法則』の活用術を教えてもらうことに。自身も著書『365日 #Tシャツ起業家』でその仕事論を綴った秋元代表は、先輩経営者の思考術をどう読み解いたのか。連載7回目は、「仕事で行き詰まったときの対処法」を聞いた。(構成・川代紗生)

「急に成長が止まる人」と「殻を破って急成長する人」の分岐点

急成長を可能にする「ゼロリセット思考」

──管理職になると、際限なく仕事を抱えてしまいますよね。仕事の量は減らせない。でも、リラックスしたり、情報収集したりする時間もきちんと確保したい。

 そんなとき、どうしたらいいでしょうか。

 『時間最短化・成果最大化の法則』のスケジュール管理術の中で、「もっと早く知っておきたかった!」と思ったものはありましたか?

秋元里奈(以下、秋元):効率化で減らせる仕事には限界があります。

 だからこそ、「抜本的な改革ができないか?」という思考を常に持っておくことが大事だと思います。

 この点に関しては、『時間最短化・成果最大化の法則』の「ゼロリセット思考の法則」がとても参考になりました。

 たとえば、すでに事業をやっている場合も、目の前の事業をやりながら、

もし今、ゼロから起業するならどんな事業が一番成功しやすいか

 と考えてみる。

 最近では、「アンラーニング(学び直し)」という言葉を耳にする機会も増えましたが、常にゼロベースに意識を戻して考える「ゼロリセット思考」は、成長に行き詰まりを感じているとき、特に有効だと思います。

 すでに当たり前になっている作業を、

実はもっと工数をかけずにできるのではないか?

 と考えてみたり。

「成果を出したい」のか、「今の仕事をしたい」のか?

──具体的には、どんな工夫をされていますか?

秋元:身近なところでいえば、新しいツールは、どんどん試すようにしています。

 以前は、スプレッドシートを使ってコスト管理をしている時期が長かったのですが、そこからSlackに移行し、現在はNotionを試しているところです。

 いつもベストなやり方を探して、アップデートしていく思考は大切ですよね。

 木下社長も、「ゼロリセット思考」を習慣化するうえで、こんなことを意識するといいと書かれています。

「成果を出したい」のか、「今の仕事をしたい」のかを常に意識するといい。
「今までやってきたから」というだけで現事業に固執する必要はない。サンクコスト(埋没費用)にふりまわされてはいけない。
 サンクコストとは、過去に払ってしまい、もはや取り戻すことができない費用だが、将来の意思決定をする際、サンクコストは考えずに、今後の損益だけを考えるのが合理的な判断となる。(P122)

 この「ゼロリセット思考の法則」以外にも、「ボールペンより鉛筆を探す法則」や「武器入れ替えの法則」など、抜本的な改革をするためにするべきことが網羅されていました。

 日常生活でできる効率化のコツだけではなく、こういったダイナミックな変化を起こす方法まで書かれているのは、管理職にとってもすごくありがたいのではないでしょうか。

 この本の素晴らしいところは、新入社員も、ある程度キャリアを積んだマネージャー層も、私のような経営者も、どんな立場にも通ずる思考法が網羅されている点だと思います。

 入社1年目でまず読み、社会人として成長してからもう一度読み返してみても、きっとまた違う気づきがあるはず。

──成長具合によって、線を引くところが変わりそうですよね。

秋元:そうです。ビジネスの教科書として、長く読み続けたい一冊です!