冬至から1ヵ月が過ぎて日がだいぶ長くなってきました。日差しが増えると元気が増すような気がしませんか? 実際に、日光浴は身体と心の健康にとても役立つようです。適度な日光浴は万能薬ともいえそうです。しかも太陽光は無料です。
ビタミンDは、皮膚が太陽光、正確には紫外線B波にさらされると、体内で生産されます。このため“太陽ビタミン”とも呼ばれます。
良く知られているように、ビタミンDは骨の健康のために重要です。ビタミンDはカルシウムの小腸での吸収を促進して、尿としての排出を防ぎます。高齢者では転倒を防ぐ効果も報告されています。
さらに、ビタミンDレベルを正常値以上に保つことは、高血圧や糖尿病、いくつかのガン、心臓発作や脳卒中の予防に、ひいては長寿に貢献するようです。最近の研究で、脳や心の健康にも役立つこともわかってきました。
記憶力や思考力などの
「脳機能」を維持
最も新しい研究では、65歳以上の高齢者で、ビタミンDのレベルが低下すると、脳の認知機能の障害が増加することがわかりました。「認知機能」とは記憶や推理、学習、言語など知的な働き全般をさします。ビタミンDレベルが最適な高齢者は、低い人と比べて、認知機能障害のリスクが半減しました。認知機能障害は認知症の発症リスクを高めます。
他に脳神経疾患関連では、ビタミンD欠乏と、多発性硬化症やパーキンソン病との強い関連も示唆されています。
また、ビタミンDは、「情緒」に関連する脳領域にも影響するようです。昨年、3つの研究がビタミンD欠乏とうつ病との関連を報告しています。サプリメントを使用してビタミンDレベルを高めると、うつ症状が改善することもわかりました。
ビタミンDがもたらす
長生き効果
特筆すべきは、ビタミンDには長寿効果があることでしょう。血液中のビタミンD濃度が高い人ほど、すべての原因による総死亡リスクが低くなることを複数の研究が示しています。
ある研究では、65歳以上の人々を約8年間の追跡して、ビタミンDレベルの最も高い人々は、最も低い人々と比べて、総死亡リスクがなんと半減することがわかりました。別の研究でもほぼ同様の結果が出ています。
この恩恵は、ビタミンDがもつ多くの働きの相乗的な効果によるといえるでしょう。ビタミンDには、免疫システムの働きを助けて呼吸器感染症を予防する、炎症を抑える、血管や心臓病の機能を改善する、細胞レベルの老化を防ぐ、ガンの発症や進行に関連するメカニズムを妨害する多くの抗ガン作用など、たくさんの有益な働きがあります。