8000系プレミアムカーの社内(写真提供:京阪電気鉄道)8000系プレミアムカーの社内(写真提供:京阪電気鉄道)

京阪電気鉄道を傘下に持つ京阪ホールディングスは3月30日、2030年度までのグループ長期経営戦略と、2023年度から2025年度までの中期経営計画を発表した。その中に盛り込まれたことの一つが「プレミアムカー」の拡大だ。大阪~京都間の激戦区において、最安でもなく最速でもないにもかかわらず、平日朝夕ラッシュ時間帯と土休日の日中はほぼ満席。その人気の理由とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

2025年度までの
中期経営計画を発表

 京阪電気鉄道を傘下に持つ京阪ホールディングスは3月30日、2030年度までのグループ長期経営戦略と、2023年度から2025年度までの中期経営計画を発表した。

 2020~2022年度の前計画は残念ながらコロナ禍と丸被りになってしまい、人流の大幅な減少、利用者の価値観やライフスタイルの変化に翻弄(ほんろう)された3年間だった。2018年度に300億円を超えていた連結営業利益は2020年度に12億円の赤字に転落したが、2022年度は172億円の営業黒字を見込んでいる。

 同社によれば直近(3月1~22日の速報値)の運輸収入は対平年度で定期が16.6%減、定期外が17.2%減。これが計画最終年度かつ大阪・関西万博が開催される2025年度は、定期は15%減、定期外は10%減まで回復し、コロナ前と同水準となる340億円の営業黒字を達成する計画だ。さらに2030年度に430億円以上の水準を目指すとしている。

 京阪HDのセグメント別営業利益は、2018年度が連結営業利益約337億円のうち、運輸業が約112億円、不動産業が約175億円の2本柱だった。コロナ以降も堅調な不動産に対し、運輸業の収支改善が業績回復のカギになる。