植田日銀新体制がスタート
根強いYCCの早期修正観測
4月9日に植田和男新総裁の下で日本銀行の新体制がスタートした。10日の就任会見で植田総裁は当面、緩和政策を維持する考えを改めて示した。
しかし筆者は、現時点では、2%物価目標の達成は依然としてハードルが高いものの、副作用が目立つ異次元緩和の枠組みは早い段階で見直される可能性は否定できないとみている。
とりわけまず対処しなければならない課題は、イールド・カーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正ないし撤廃だ。
債券市場でイールド・カーブの形状がゆがみ、現物と先物の裁定も働きにくくなっているほか、国内外の金利差の拡大が急激な円安を招き、物価上昇を加速させるなど、YCCを巡る副作用については既に明らかになっている。
YCCの存在により日銀と市場のコミュニケーションが難しくなっている面も大きい。
いずれ撤廃するのであれば、なるべく早期にYCCを撤廃する方が今後の政策運営を円滑にする上でも望ましいと、植田新総裁が考える可能性がある。
早ければ6月の政策決定会合で長期金利目標が撤廃、あるいは長期金利目標の上限が1%程度まで拡大される可能性は残っている。