年金支給開始年齢「再度引き上げ」は必至、やはり“虚構”の年金財政写真はイメージです Photo:PIXTA

単純化したモデルで
年金財政の本質を見る

 個人が老後のためにどれだけ自分で蓄積しなければならないかは、高齢化が進む日本では一大関心事だが、それは公的年金がどうなるかによって大きな影響を与える。

 だから、年金財政の長期見通しは大変重要だ。

 ただし、年金財政の見通しはさまざまな要素が関連するので複雑だ。

 政府による直近の財政検証(2019年)は、人口や労働参加、物価や賃金などの経済の状況などで6つのケースを想定して、収支計算をしているが、これでは、想定の妥当性を評価するのは難しく、いかなる要因がどのように影響するかも判別しがたい。

 しかし、もっとも重要なポイントを抜き出して、できるだけ単純化した形で年金財政の今後を考えてみれば、悲観的にならざるを得ない。

 2000年の法改正で老齢厚生年金の支給開始年齢の60歳から65歳への引き上げが決められて、現在、段階的に実施されているが、再度の引き上げが避けられそうにない。