世界を舞台に活躍した
音楽家の坂本龍一
校風は「軟派」といわれる。東京・新宿の繁華街のど真ん中に校地があることから、そうなったようだ。前身は旧制東京府立第六中学校。戦前は「六中」で通っていたが、現在は東京都立の新宿高校だ。
多くの文化人を輩出しているが、世界を舞台に活躍した音楽家の坂本龍一がこの3月28日に死去した。71歳だった。
音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」のメンバーとして活動し、映画「ラストエンペラー」で米アカデミー賞作曲賞を受賞するなど、欧米人が席巻してきた音楽界に打って出て、確固たる地歩を築いた。大衆芸術と前衛芸術の橋渡し役を務めた、といえる人物だった。
坂本は子どものころからピアノと作曲を学び、都立新宿高校から東京芸術大に入学、大学院時代からスタジオミュージシャンとしての活動を始めた。
音楽家としての活動だけでなく、脱原発運動や被災地支援にも長年取り組んだ。また、憲法9条改正に反対するなど反戦平和・政治への関心も高く、国会議事堂前などの抗議集会でスピーチすることもあった。
2014年にがんが判明し、闘病生活を続けてきた。この1月には新作アルバムをリリースしたのだが…。
新宿高校では、作曲家で文化功労者の池辺晋一郎が坂本より7期先輩だ。横浜みなとみらいホール館長などを歴任した。
作曲家・編曲家の河野土洋、ジャズピアニストの村尾陸男、指揮者の樋本英一、作曲家の青木望、岡崎律子、manzoらもOB・OGだ。
映画監督では長谷部安春、橘祐典、黒沢直輔、大嶋拓ら。日下部光雄はアニメ監督・演出家、植田益朗はアニメプロデューサー、大久保賢一は映画評論家、小野耕世は漫画・映画評論家、桂邦彦はテレビプロデューサーだ。
俳優では、テレビ草創期のころから俳優・声優として活躍した久松保夫や小山田宗徳、参院議員もした中村敦夫、さらに蟹江敬三、女優の辻しのぶ、カメラマンでタレントの馬場憲治などが卒業生だ。