【市岡高校】華麗なる卒業生人脈!東芝社長の島田太郎、パナソニック元社長の大坪文雄、脚本家のジェームス三木…東芝社長の島田太郎 Photo:Bloomberg/gettyimages

東芝社長の島田太郎と
パナソニック元社長の大坪文雄

 大阪港を擁する海の玄関口にある港区。大阪府立市岡高校は、その港区の中心部にある。明治以来、各分野で活躍した卒業生を多数、送り出してきた。「多士済々」の言葉通りだ。

 企業経営者をたくさん輩出している高校だが、投資ファンド間の駆け引きで経営が揺れ続ける東芝で、昨年3月に行われたトップ交代人事が、話題になっている。前社長・綱川智(都立小石川高校・現小石川中等教育学校―東大卒)の後を継いだ社長兼CEO(最高経営責任者)の島田太郎(1966年10月生まれ)は、2018年に東芝に入社した非生え抜きの「外様」だからだ。

 島田は市岡高校から甲南大理工学部に進み、卒業した。新明和工業やシーメンス日本法人専務などを務めたあと、東芝にスカウトされた。生え抜きか、メインバンク出身者に限られていた東芝のトップとしては異例の人事だ。島田は「デジタルが分かる初めての社長」と自他ともに認めている。

 東芝はこの3月23日、国内ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などを中心とした国内連合の買収提案を受け入れることを、同日開いた取締役会で決議した。買収額は2兆円程度とみられる。JIPがTOB(株式公開買い付け)を実施し、東芝は非公開化される見通しだ。

 市岡高出身の企業トップ経験者の中では、パナソニック社長、会長を務めた大坪文雄の知名度が高い。大坪は社長在任中の2008年に社名を「松下電器産業」から「パナソニック」に変更した。また三洋電機を子会社にした。

 ただ、世界的な金融危機によるデジタル家電の売り上げ低迷や、韓国、台湾の追い上げによりパナソニックの業績は不振に陥り、未曽有のリストラを余儀なくされた。

 IT企業の経営者になった卒業生も出ている。日本オラクルのトップを務めた新宅正明と、5期後輩でアップルジャパン代表を務めた山元賢治の2人だ。

 辻巌は、塗料のロックペイントを創業した。2004年に101歳で大往生を遂げた。

 能村龍太郎は、テントなど膜構造建築物のメーカーである太陽工業を、独創的な輸出企業に育て上げた。

 さらに、右近権左衛門(日本火災海上保険)、喜多市松(京阪電気鉄道)、松原治(紀伊国屋書店)、高島浩一(共英製鋼)、児島英一(近畿日本ツーリスト)、多木隆雄(多木化学)、山本和三郎(池貝鉄工)、瀧省一(関西銀行)、手塚昌利(阪神電気鉄道)、玉田弘文(いちよし証券)らも、旧制市岡中・新制市岡高校のOBだ。