――創業から30年以上がたちましたが、ここまで経営は順調でしたか?

齋藤 売り上げが横ばいの時期もありましたが、ほとんど右肩上がりで成長してきました。2022年も、食肉市場自体はコロナ禍で厳しかったのですが、弊社は売り上げを伸ばすことができました。

――齋藤社長から見て成長の要因は?

齋藤 短期的に見ると夕食宅配会社との取引が堅調なことがありますが、長期的に見ると、お客さまに安心・安全な良い商品をお届けすることを心がけてきたからだと思います。スローガンにとどまらず、そのための事業努力をしてきました。

――どんなことをされてきたのですか?

齋藤 まずは96年に肉を加工する大田原ミートセンターを開設し、金属探知用の高精度な設備を導入。衛生管理に関しては「とちぎHACCP(栃木県食品自主衛生管理認証制度)」に早い段階から取り組み、弊社が認証第1号になりました。栃木県の知事表彰も受けました。

 また、スキルを高めてもらうために、勉強意欲のある従業員は食肉学校に半年~1年間、会社の負担で通えるようにしています。費用はかかりますが、技術から倫理観など基本的なことはすべて教われますし、情報交換ができる全国のクラスメートもできる。私自身、学校で学んだことや人間関係が食肉の卸をする上で大きかったので、従業員にも経験させたいと考えています。

――金融機関は大田原信用金庫さんとお取引があるそうですね。

齋藤 会社を設立した当時から30年以上面倒を見てもらっている、メインバンクです。とても身近な存在で、資金面のことだけでなく、ビジネスのさまざまなことに相談に乗ってもらっています。必要なときには専門家を紹介してくださるので、とても助かっています。

――さらに会社を成長させるために取り組んでいることはありますか?

30年にわたり成長し続ける食肉卸 肉味噌やハンバーグなどの独自商品も開発取扱商品の大瑠璃味麗豚(上)と大田原産の黒毛和牛(下)
●有限会社ミヤ商事 事業内容/総合食肉卸・惣菜、従業員数/30人、所在地/栃木県大田原市加治屋95、電話/0287‐22‐4450、URL/miya-shoji.com

齋藤 Eコマースに力を入れています。昨年、自社のオンラインショップをオープンし、オリジナル商品も次々と開発しています。

 例えば「大瑠璃味麗豚 肉味噌 生姜入り」は甘めの味噌にショウガが香る肉味噌。アクセントに唐辛子を加えてピリ辛に仕上げました。ご飯のお供はもちろん、焼き肉やキュウリなどに付けて食べてもおいしいです。同じく大瑠璃味麗豚を使用し、大人から子どもまで召し上がっていただける「スーさんカレー」や、牛豚合いびき肉の焼きたてハンバーグをこくのあるデミグラスソースで仕上げた「青森県産 デミグラスハンバーグレトルト」なども好評を博しています。

――オンラインショップなら、日本全国の人にご利用いただけますね。

齋藤 国内どころか、海外にも販路を広げられるのではないかと期待しています。Eコマースをどんどん充実させて、もっと多くのお客さまにおいしさを広げていきたいですね。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2023年5月号掲載、協力/大田原信用金庫