こうした人物には、もうすでにこちらから“嫌いオーラ”を送ってしまっている可能性が高い。向こうはあなたに関心があり、潜在意識では好きかもしれないのに、あなたが嫌いオーラを発していたら、向こうの愛は憎しみに変わる。そして、すでに決戦の火ぶたは切られてしまっている。
私の周りにもそういう人間がいた。企業で働いているときも政界に入ったときも。そして多くの場合、自分の未熟さゆえにそういう人物と戦っていた。
政界というのは不条理の塊みたいなところがある。政治家としての優秀さというのは数字では公平公正にはかれず、人事や発言権というのは、よくわからない基準で決まっていた。
はたから見ても閣僚人事やテレビに出てくる政治家の発言を聞いても、なんでこの人が……と思う場合が多いと思う。実際に政党や政府の中に入ってみると、各種の手練手管を駆使して地位や権力を獲得する先輩や同僚の姿を目の当たりにすることが少なくなかった。
私のような30代で民間から政界入りしたナイーブな若造はそんな彼らを「清濁併せ呑む」のはなんともできかね、時として嫌悪を感じる日々であった。納得いかない気持ちで寝付けない夜もあった。
政治家という職業は素晴らしい仕事だと思うし、志を立ててせっかくなったものだが、当時は政治家になったことを心から後悔した日もあった。その嫌悪感から、アルコールに頼って体調を悪くしたり、酔って腹いせにその人たちの悪口を言い触らして自分の評価をさらに下げたこともあった。
先輩や同僚の不条理な発言や行動を見ていると尊敬するどころか軽蔑したくなり、それ以上に、たまに成敗したくなっていた。与党の会議や会食の席で論破してやろうと挑戦したこともあって、周りをヒヤヒヤさせたこともあった。当然、こうして真正面からかかわることで、いいことや成長機会はなかった。