「だれと仕事するか」は仕事がうまくいくかどうかを決定づける極めて重要な要素です。ゆえに目の前の人が「仕事のできる人かどうか」を見極める能力は、ビジネスパーソンにとって必須の能力といえます。しかし、「仕事ができる人かどうか」を見極めるのは簡単ではありません。「学歴が高い」からといって「仕事ができる」わけではないのは、想像に難しくないでしょう。『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者である安達裕哉氏は、経営コンサルティング会社に入社し、ある経営者から聞いた目の前の人が「仕事ができる人かどうか」を見極める簡単な方法が目からウロコだったと言います。(初出:2023年4月18日)
「仕事ができる人」が持つ2つの能力
どこの組織であっても「仕事のできる人」は2つの能力が高い。
一つは知識や概念を獲得する能力。いわゆる学習能力。
もう一つはすぐに実行に移す能力。いわゆる行動力。
この2つの能力を兼ね備えた人が、「仕事のできる人」だ。
学習能力は心の持ちように関わるものであり、
変化の早いビジネスの世界で新しい物事を受け入れる能力につながる。
行動力は「リスクを負う勇気」や「主体性」が重要なビジネスの世界で
どんな状況でも物事を前に進める能力に関係する。
論理的思考や、傾聴などはスキルとして後から身につけることができるが、
上の2つは人間の根源的な部分に直結しているため、ごまかしが効かない。
しかし、上の2つの能力を兼ね備えた「仕事のできる人」かどうかを見極めるのは結構難しい。
話をしたり、学歴を見たりするだけでは上の2つの能力を備えているかどうかを判断することが困難だからだ。
ところが、ある経営者が「それは一緒に食事でもして話せばすぐに分かる」と言う。
どうやるのですか、と尋ねたところ、その席上で「本について話をするだけでいい」と言う。
その経営者は目の前の人が「仕事のできる人」かどうかを見極める方法をこう説明してくれた。
「できる人か見極めるのは、簡単だよ。
まずは普段、どんな本を読んでいるか、どんな本が面白かったかを聞く。
本を読まない人の時点でアウトだけど、全く読まない人、というのはあまりいないから、たいてい何か出てくる。で、僕は『おすすめの本』を聞くんだ」
「おすすめの本ですか」
「そう。その人のおすすめの本は、その人の思想が色濃く出る。知的レベルや、願望、どれくらい勉強しているかわかる良い情報だ」
「それだけでいいのですか?」
「もちろんそれだけじゃない。で、お薦めしてもらったら、僕はその本をその人の目の前で買う。Amazonを使って。実際に、どんな本を読んでいるのか僕も興味あるし、その人の考え方に興味があるからね」
「ふーむ。確かにそうですね」
「で、その後が肝心だ」