商品市況高騰と通貨ウォン安で韓国経済はインフレ率が上昇し、中央銀行は21年8月以降利上げを継続してきた。しかし、依然目標とする2%を上回っている。利上げによる景気抑制に加え、世界経済の減速懸念が韓国経済の足かせとなっている。(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濱 徹)
インフレ率高騰を受け
21年8月以降大幅な利上げ
韓国経済は、コロナ禍からの景気回復が進む一方、商品高に伴う生活必需品を中心とするインフレに加え、国際金融市場における米ドル高を受けた通貨ウォン安による輸入インフレも重なり、インフレ率が大きく上振れする事態に直面した。
さらに、2020年以降コロナ禍対応を目的に中央銀行は利下げに加え、事実上の量的緩和政策にかじを切るなど異例の金融緩和に動いたものの、景気回復が進むなかで首都ソウルなど大都市部を中心に不動産市況が急騰するなど経済がバブル化する懸念も高まった。
こうしたことから、中銀は一昨年8月に2年9カ月ぶりの利上げに動くとともに、その後も物価・為替の安定を目的に継続的かつ大幅な利上げを余儀なくされるなど、難しい対応を迫られてきた。
なお、昨年末以降は世界経済の減速懸念を受けて商品高の動きに一服感が出ているほか、米ドル高が天井をつけたことも重なり、インフレ率は昨年7月をピークに頭打ちに転じている。