サッカー日本代表が臨む国際親善試合のマッチメイクが、3月に続いて6月シリーズでも難航している。ヨーロッパ勢との対戦がほぼ途絶え、北中米カリブ海勢やアフリカ勢との対戦も難しくなった状況はなぜ生まれたのか。選択肢が著しく限られる交渉で隣国・韓国の存在が大きなカギを握ってくる理由も含めて、最新のマッチメイク事情を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
森保ジャパンのマッチメイクが難航
欧州の強豪国を招致できず
日本代表が国内外で臨む国際親善試合のマッチメイクは、日本サッカー協会(JFA)の技術委員会が担当している。しかし、技術委員会のトップで、JFAの国際マッチメイク委員も兼ねる反町康治委員長からは、今年に入ってネガティブな意味合いを持つ発言が相次いでいる。
「ヨーロッパが今回も難しいところを含めて、かなり四苦八苦しているのは否めません」
2月に複雑な胸中を明かした反町委員長は、4月にも苦笑しながらこう語っている。
「極力強い相手をリクエストされていますが、いつも通り難航しています」
いずれも森保ジャパンが臨む国際親善試合のマッチメイク状況を問われた直後の反応だ。このうち前者の3月シリーズでは第2次政権の初陣として、東京・国立競技場でウルグアイ代表と1-1で引き分け、大阪・ヨドコウ桜スタジアムではコロンビア代表に1-2と逆転負けを喫している。
四苦八苦していた跡はウルグアイとの対戦決定に先駆けて、JFAがチケット販売の概要やキックオフ時間を発表した点に反映されている。なぜ森保ジャパンのマッチメイクが難航を強いられるのか。答えは反町委員長が言及した「ヨーロッパが今回も難しい」に集約されている。
ヨーロッパでは今年3月の国際Aマッチデー期間から、来年6月から7月にかけてドイツで開催されるヨーロッパ選手権の予選がスタート。ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)に加盟するほとんどの国が2試合を戦っていて、スケジュールにまったく空きがない状況だった。