中村俊輔、憲剛、ウッチーに長谷部も…サッカー界でスター指導者続出が目前指導者の資格取得の準備を進めている中村憲剛氏(左)、槙野智章氏(中央)、内田篤人氏 (筆者撮影)

Jリーグ監督の顔ぶれが、予備軍を含めて一気ににぎやかになってきた。現役を引退して間もない42歳の中村憲剛氏と34歳の内田篤人氏が、監督に必要なS級ライセンス取得を目指して来年度の養成講習会を受講。早ければ2024シーズンから監督としての雄姿が見られるからだ。ここで気になるのはプロ野球界とは大きく異なる、指導者になるための独自のカリキュラム。全容や制度改正をひもといていった先に、日本サッカー界の未来予想図が見えてくる。(ノンフィクションライター 藤江直人)

憲剛、ウッチー…
かつてのスター選手が指導者に!

 川崎フロンターレのレジェンドにサッカー界のお祭り男、そしてウッチー。つい最近までピッチの上でおなじみだったスター選手たちが肩書を変えて、スタジアムに戻ってくる。

 冒頭で挙げた3人、中村憲剛氏に槙野智章氏、そして内田篤人氏は、日本代表やJクラブの監督を務めるために必要な資格を取得するための準備を数年前から進めているからだ。

 資格とは日本サッカー協会(JFA)が公認および発行するS級ライセンスを指す。その養成講習会を憲剛氏と内田氏は来たる2023年度に受講。昨シーズンで現役引退した槙野氏も、順調に進めば24年度に受講する。

 JFAとJリーグが主催している養成講習会は、年度単位で行われている。あくまでも制度上の話となるが、憲剛氏と内田氏に関しては早ければ24年シーズンから監督を務める上での状況が整う。

 サッカーの監督という仕事について、憲剛氏は「そんなに甘いものでも、簡単なものでもないと重々思っている」と断りを入れた上で、特別なものとして位置づけてきたと明かしている。

「僕自身も現場にいてすごくわかっているし、もちろんなりたいと望んでなれるものでもない。全てはタイミング次第となるけど、もしそういう話が来たときにS級ライセンスを持っていないと何もできない。そこは引退した自分が、一番やらなければいけないことの一つとして位置づけてきた」

 憲剛氏を例に挙げれば、現役に別れを告げたのは40歳だった21年の元日。しかし、プロ野球界などとは違い、サッカー界の場合は引退後に即、監督を務めることはできない。