成功者は
「与える」ことばかり考えている

 ゲラー氏はそう言って、

 君が提供したサービスの量と質=君が受け取る報酬額

 と大きく紙ナプキンに書いた。

「君がいまからどんなことを人生でしても、これを覚えておきなさい。君が何をやっても、この法則が当てはまる。君が世の中に対して与えたサービスの量と質が、そのまま君の受け取る報酬に等しくなる。道路の掃除をする者は、それに見合うお金をもらう。会社勤めをすると、決められた給料をもらう。スターは多くの人を喜ばせているので、巨額の報酬を得る。外科医は、その技術によって、高い報酬を得る。わかったかい?君が将来提供するサービスがそのまま報酬になってくるのだよ」

「はい、よくわかりました。でも、どうしてお金のことを忘れるんですか?」

「ハハハ。私が二回も君に忘れろと言ったのに、まだお金のことを言うんだね。お金のことを忘れるのは、サービスをすることに意識を没頭しなさいという意味だ。給料をもらう人間は働いている時間が退屈なので、その時間が早く過ぎないかだけを考えている。普通の人は、『人からもらえるもの』にしか興味がないのだ。だから、金持ちになれない。

 一方、スターと呼ばれる人たちや、事業で成功している人たちは、その仕事を辞めるのが難しいくらい、自分の仕事を愛している。自分のやっていることにワクワクして、今度は何ができるだろうかと考えている。言ってみれば、与えることばかり考えているといえるだろう。だから、彼らは、ますます金持ちになっている。

 ビング・クロスビーやフランク・シナトラが大勢の聴衆の前で歌を歌うとき、一曲歌ったらいくら儲かるなんて考えながら、歌っていると思うかい?彼らは、その時間を心から楽しんでいるんだよ。終了時間がきても、もっと歌わせてくれと言うだろう。どちらがたくさん金を稼いでいると思う?そして、どちらが幸せだと思うかい?」