年収500万、5000万、5億円の人は何が違う?人気作家が語るユダヤ人大富豪の教え写真はイメージです Photo:PIXTA

ちまたにさまざまな成功ノウハウの情報が溢れるなか、真に「読み手の自立」を促すものはそう多くないはずだ。ここでは作家の本田健氏と、同氏が独立起業のため米国で師事したユダヤ人ゲラー氏との、珠玉の対話を紹介する。本稿は、本田健『ユダヤ人大富豪の教え』(だいわ文庫)の一部を抜粋・編集したものです。

金持ちになるための要件は
才能や努力にあらず

 朝の散歩から帰って、テラスに落ち着いたゲラー氏は、上機嫌で語りだした。

「最初に君が知らなければならないのは、『社会の成り立ち』についてだ。いまの社会がどのように成り立っているかを知らなければ、成功することはできない。金持ちの子どもたちは、小さい頃から、この種の知恵を代々教わっている。世の中の仕組みを知らなければ、金持ちになるのは難しい。

 君は一生懸命頑張れば、金持ちになれると思うかい?」

「頑張れば、なんとか道は開けると思います」

「では、世の中には同じ年齢でも、年に5万ドル(500万円)稼ぐ人間と、50万ドル(5000万円)稼ぐのと、500万ドル(5億円)稼ぐのがいるね。彼らの違いはなんだろう。5億円稼ぐ人間が500万円の人間の100倍働いただろうか?」

「はあ、それは無理でしょう」

「まず間違いないが、年収500万円の人間がいちばん忙しくて、一生懸命毎日頑張っているだろう。

 年収5億円の人間は自分のビジネスを所有していて、年収5000万円の連中を経営者に迎え入れている。

 5000万円稼ぐ経営者は、職を求めてやってきた年収500万円の連中を従業員として雇ってビジネスを切り盛りしているのだ。

 ところで、このあいだテレビで見たんだが、東京では、朝のラッシュアワーには、電車に人を押し込む係の人がいるんだって?」

 ゲラー氏は、日本のことについて、結構詳しかった。その土地の人間の考え方、感じ方にとても興味があるらしい。何でそんなことまで知っているんだろうと思いながらも、「はい、そうです」と答えた。

「そのラッシュのときに、押す側も、押される連中も、年に5億稼いでいるとはとても思えないね。どちらかというと、年に500万円のほうだろう」

「たぶん、おっしゃるとおりだと思います。その三者の違いは、どこからくるんでしょうか?」

 すると、ゲラー氏はいたずらっぽい顔をして、切り返してきた。

「どこが違うんだと思う?」

 彼の教えはいつもこういう感じだった。相手に考えさせるように仕向けるのだ。簡単に答えを教えてくれるような甘いタイプではない。頭に汗をかかせるのが彼のスタイルだ。そのうちに、相手は真剣に考えるクセがつき、自立できるようになる。

 彼の部下によると、彼は質問の天才らしい。質問に答えているうちに、正解が出せるようになってくる。質問に答えようとしたほうは、自分でその答えを思いついたと喜んでいる。本当は、ゲラー氏の絶妙な質問が正解を導き出したのだが、そう感じさせないところがすごいのだ。

 サッカーのパスでも、相手が走っていくであろうスペースに、ポンと蹴り出すのが一流選手らしいが、ゲラー氏の質問もまさしくそんな感じだった。

「才能でしょうか?」

「才能があっても、成功しない連中はたくさんいるよ」

「では、努力ですかね?」と自信なげに僕が答えた。

「ほとんどの人間は、精一杯やっている。努力した人間がみな成功できたら、どんなにいいだろうね」

成功者は
「与える」ことばかり考えている

 ゲラー氏はそう言って、

 君が提供したサービスの量と質=君が受け取る報酬額

 と大きく紙ナプキンに書いた。

「君がいまからどんなことを人生でしても、これを覚えておきなさい。君が何をやっても、この法則が当てはまる。君が世の中に対して与えたサービスの量と質が、そのまま君の受け取る報酬に等しくなる。道路の掃除をする者は、それに見合うお金をもらう。会社勤めをすると、決められた給料をもらう。スターは多くの人を喜ばせているので、巨額の報酬を得る。外科医は、その技術によって、高い報酬を得る。わかったかい?君が将来提供するサービスがそのまま報酬になってくるのだよ」

「はい、よくわかりました。でも、どうしてお金のことを忘れるんですか?」

「ハハハ。私が二回も君に忘れろと言ったのに、まだお金のことを言うんだね。お金のことを忘れるのは、サービスをすることに意識を没頭しなさいという意味だ。給料をもらう人間は働いている時間が退屈なので、その時間が早く過ぎないかだけを考えている。普通の人は、『人からもらえるもの』にしか興味がないのだ。だから、金持ちになれない。

 一方、スターと呼ばれる人たちや、事業で成功している人たちは、その仕事を辞めるのが難しいくらい、自分の仕事を愛している。自分のやっていることにワクワクして、今度は何ができるだろうかと考えている。言ってみれば、与えることばかり考えているといえるだろう。だから、彼らは、ますます金持ちになっている。

 ビング・クロスビーやフランク・シナトラが大勢の聴衆の前で歌を歌うとき、一曲歌ったらいくら儲かるなんて考えながら、歌っていると思うかい?彼らは、その時間を心から楽しんでいるんだよ。終了時間がきても、もっと歌わせてくれと言うだろう。どちらがたくさん金を稼いでいると思う?そして、どちらが幸せだと思うかい?」