ある肌寒い日の午後、北極圏の目立たない国境の検問所に、ロシアのナンバープレートをつけた車が1台、また1台とやって来た。その多くは最寄りの町キルケネスでおむつやチョコレート、アイスクリーム、コーヒーなどの生活必需品や食料品を買い込んでから帰国する中年のロシア人たちだ。昨年のロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州のほとんどの国がロシア人に門戸を閉ざしている中、この検問所はロシア人にとって西側への数少ない玄関口であり続けている。かつて多くのロシア人が越境してきてにぎやかだった検問所周辺の地域は今ではずっと静かだが、ここで続くノルウェー・ロシア間の行き来は両国の複雑な関係を反映している。両国の関係は1945年に旧ソ連軍とノルウェー軍がこの地域の支配権をナチスドイツから奪い取ったときにまでさかのぼる。
ロシアの隣国ノルウェー、国境を閉じない事情
北極圏の町でロシアと西側を結ぶ数少ない玄関口を維持
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