悩んでいる働く女性のイメージ写真写真はイメージです Photo:PIXTA

働いている50代女性は「定年後、どうすればいいのか」と悩んでいる人が本当に多い。「定年前不安シンドローム」と呼べるほど、定年以降に不安を感じ、悩んでいる。では、どうしたらその不安を和らげることができるのか。男性にも知ってほしい具体的な対処法を解説したい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

女性の多くは定年後も再雇用で
同じ仕事を続けるか迷い、悩む

 今回は「働く50代女性が定年前に抱える悩み」について取り上げようと思う。

 筆者は、1996年にファイナンシャルプランナー(FP)として活動を始めたので、FP歴は今年で27年になる。

 90年代、2000年代にFP相談に訪れた「50代女性」は、ほとんどが専業主婦かパートタイマーだった。正規雇用で働く女性は、新聞記者、編集者など専門職に近い職業か、看護師や公務員など限られた職種であった記憶がある。

 ところが、7~8年くらい前から「働く50代女性」の相談が増えてきた。急増といってもいいくらいだ。50代まで働き続けている女性ってこんなにいたっけと考えてみると、いわゆる「均等法第1世代」が50代を迎える時期になったからだと気が付いた。

 86年に男女雇用機会均等法が施行されて今年で37年。90年頃までに就職した第1世代は、定年を迎える年齢になった。

 正規雇用で働く女性たちの共通の悩みは、「定年後、どうすればいいのか」。いくつか「声」を紹介しよう。

「60歳定年以降、再雇用で働くべきか、辞めるべきか」
「再雇用で働きたいけれど、後輩女性に“会社にしがみついている”と思われそうで、カッコ悪いような気がする」
「今の収入が定年以降は続かないことに大きな不安を覚える」
「再雇用で働いたとしても、65歳以降の仕事はあるのだろうか」
「老後資金はいくらあると安心なのか」
「定年以降は別の仕事を見つけたいけれど、どう見つければいいのか見当がつかない」
「勤務先に定年を迎えた先輩がいないから、ロールモデルがなく、60歳以降の仕事人生を想像しにくい」

 悩み事は一つではなく複数あるため、何から手を付けていいのか分からないという。「定年前不安シンドローム」とでも名付けようかと思うくらい、50代の働く女性たちは定年以降に不安を感じ、悩んでいる。

 一方、男性は悩まない。再雇用の制度があれば、収入が激減しようとも今の職場で働き続ける。老後の生活に不安はあるが、その不安を解消するためにもほとんどの人が再雇用を選択する。後輩にどう見えるかは、考えない。

 定年を機にきっぱり退職する、または転職に踏み切る人もいるが、決断に迷うことがあっても悩みはしない。

 男性がこのコラムを読むと「働ける場があるのに、女性はなんで悩むのか」と不思議に思うことだろう。

 ただ、今回働く50代女性向けに解説する「定年前不安シンドロームの解消法」は、「悩まない男性」にとっても役に立つノウハウだ。ぜひ読み進めてほしい。キーワードは「お化け屋敷」と「見える化」だ。