ミドル・シニア女性写真はイメージです Photo:PIXTA

「女性活躍推進」は、いまや企業にとっては必須課題のひとつであり、これを表立って否定する企業はないだろう。だが実際は、働く女性の半分以上が、女性活躍の「対象外」という事実をご存じだろうか。女性のセカンドキャリアを支援する筆者が、実際に出会って話を聞いた女性たちのエピソードを交え、「女性の定年」について一石を投じる。(Next Story代表 西村美奈子)

「24時間戦った」女性たち
40代後半以上は、活躍支援の対象外!?

 すべての女性が輝く社会を目指すのが主目的である女性活躍推進法だが、実際にはほとんどの企業の女性活躍支援は、(1)子育てと仕事の両立支援、(2)女性リーダー育成、(3)女性役員登用の3つに集約される。

 子育ては20代から40代前半頃までが中心で、リーダーになり管理職の道を歩み始めるのはたいてい40代前半だ。つまり、女性活躍支援の「対象」は40代半ばまでで、一部の役員候補女性を除き、ほとんどの「40代後半以上」の女性たちは、支援の対象外となる。

 総務省の労働力調査によると、働く女性のうち、45歳以上の割合は計53%を占める。つまり、働く女性の半分以上が40代後半以降であり、その層が支援の対象外なのだ。ちなみに、正規の職員・従業員に限っても45歳以上が40%である。

 かつての「男女平等」は「ダイバーシティー」に名前を変え、働く女性の環境は大きく好転しているかのように見える。ところが、若い時に理不尽な男女差別に苦労してきたマチュア世代(40代後半~60代)の女性たちは、今でも、目に見えない差別と戦っている。

 彼女たちが20代・30代の頃、男女雇用機会均等法が施行されたとはいえ、職場における「性別役割分業」の傾向は色濃く存在した。女性が男性と同様に組織で認められるために、まずハードルとなったのが、本来の能力を発揮できる仕事を任せてもらうことだった。

 任せてもらうには、「やる気」を示すことが求められた。昭和の企業戦士を表したフレーズ「24時間戦えますか?」は、男性だけでなく、昇進を目指す女性たちにも突き付けられ、長時間労働は「男性よりむしろ女性にとって管理職要件だった」という人もいる。そうやってハードに働き続けてきた女性たちが、やっと女性活躍の時代になって、今度は支援の対象外とされるのは、なんともやりきれない。