シニアの投資セオリーは現役世代と大違い!金融商品5つの見極めポイントとは写真はイメージです Photo:PIXTA

株式、債券、REIT、コモディティ、投資信託――。多種多様な金融商品の中から、個人投資家が一つずつ吟味して、自分に合う商品を選び出すのは至難の業です。今回は、シニア世代に向けた、金融商品の見分け方五つのポイントを紹介します。

※本稿は、西崎 努『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。

若い世代は「資産形成」、シニア世代は「資産運用・管理」

 シニア世代が本当にやるべき投資とはどういうものなのでしょうか。

 まずお伝えしたいのは、ひとくちに投資といっても、現役で働く若い世代が行う投資と、リタイアを見据えたシニア世代が行う投資は、まったく違うものだということです。大きく分けると、若い世代の投資は「資産形成」、シニア世代の投資は「資産運用・管理」となります。

●若い世代の資産形成
・まとまった資金はまだない
・仕事で定期的な収入がある
・長い時間をかけられる
・コツコツと資産を増やしていく
・多少のリスクはリカバリーできる

●シニア世代の資産運用・管理
・貯蓄や退職金、相続でまとまった資金がある
・仕事の収入は減るか、なくなり、年金などが中心になる
・時間が限られている
・手元にある資産を増やすより、減らさない
・リスクをとって大きな損失が出ると取り返しがつかない

 このように若い世代とシニア世代では、投資や前提が異なりますから、やり方も違って当然です。

 ところがメディアや雑誌などでは、この大きな違いがあまり語られません。若い世代向けの「資産形成」とシニア世代に適した「資産運用」の話がごちゃまぜになっています。

 大衆向けのメディアには、よく「これが買い時」「この銘柄が期待」などと煽るような情報が出ています。多くの人がお金は増やしたいと思っていますから、儲け話は興味を持たれやすいわけです。しかし投資をよく知る人ほど、そのような情報に釣られることはありません。誰もが儲かるうまい話など、あるわけがないのです。

 近年よくメディアで話題になるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)についても、やったほうがいいのかと聞かれることがあります。私は、NISAやiDeCoは基本的に若い世代の「資産形成」に適した制度であり、シニア世代が無理にやるものではないと思います。なぜなら、制度上の条件や手続きがいろいろあり、簡単にいうと面倒だからです。

 そうしたことが苦にならないのならいいですが、私が知る限りシニア世代のみなさんにとって細かな手続きや注意事項は、段々と精神的な負担になりやすい傾向があります。