お金への意識を変え、行動を学ぶだけで、誰もがリッチな毎日を送ることができる。そんな夢のような方法を具体的に指南し、全米で大ブームを巻き起こした『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』がついに日本に上陸した。世界23言語に翻訳され、累計100万部を記録。Amazon.comでは1万件以上の星5レビューが集まり、全米から欧州やアジアへと実践者が増えている。今年4月から、Netflixで著者のラミット・セティを特集した『ハウ・トゥー・ゲット・リッチ』の配信も始まった。本稿では本書から一部を特別に公開する。

【資産運用の達人が解説】持ち家vs賃貸、結局どっちが有利なの?Photo:Adobe Stock

住宅購入は、投資ではなく「買い物」と考えよう

 アメリカ人にとっての最大の投資は家だが、不動産はアメリカ人が最もお金を失う資産でもある。

 不動産会社(そして多くの住宅所有者)からは嫌われるかもしれないが、実際、不動産はアメリカで最も過度に評価されている投資と言える。

 家とはあくまで高い買い物であり、投資としての価値は副次的なものだ。

 もし自分の住む家を投資として捉えているのであれば、不動産はせいぜい平均的なリターンしか生まない。

 イェール大学のロバート・シラー教授によると、1915〜2015年にかけて、住宅価格は平均して年率0.6パーセントしか上昇していないという。

 この数字に違和感を抱くかもしれないが、これが真実だ。実際は儲けてもいないのに、儲けていると思い込んでいるのだ。

 例えば、誰かが25万ドルで家を買い、20年後に40万ドルで売却すれば、彼らは「すごい! 15万ドルも儲けた」と思うだろう。

 ただ、固定資産税や修繕費、株式市場に投資できない機会費用などの重要な要素を考慮に入れていない。

 実際は、株式市場への投資が不動産への投資を圧倒している。

 家を買うことが絶対に悪い判断だと言っているわけではない(私も将来は家を買う予定で、「将来の家のための頭金」と名付けた貯蓄口座を持っている)。

 ただ、投資ではなく買い物と捉えるべきだ。ほかの買い物と同じように、家を買ったら、できるだけ長く住むようにしよう。

 やるべきことを済ませてから、交渉に臨もう。賃貸などほかの選択肢についても、しっかりと検討しよう。

持ち家vs賃貸

 多くの人にとって、賃貸の方が賢明な選択になり得るという理由をこれからお見せしたい。

 特に不動産価格が高騰しているエリアに住みたい人に言えることだ。

 まず、賃貸は資産形成に寄与しておらず、「お金をドブに捨てている」という考え方をいったん捨ててほしい。

 パーソナル・ファイナンスにおいて、このような決まり文句には用心すべきだ。

 これが真実ではないということを具体的な数字で証明する。

 家を買って保有するのにかかる費用の総額は、その家の売り出し価格よりもずいぶん高い。次の表を見てみよう。

【資産運用の達人が解説】持ち家vs賃貸、結局どっちが有利なの?家を30年以上保有する費用

 この表を見ると、22万ドルの家を買っても、実際は70万ドル以上の費用がかかることがわかる

 ここには引越し代や家具の新調、リノベーション、家を売るときの仲介手数料は含まれていない。

 これらを含めれば、さらに数万ドルの費用がかかるだろう。

 この表の金額に異論がある人もいるかもしれない。そういう人は自分でも調べてみよう。私はあくまで目に見えない費用の大きさについて理解してもらいたいだけだ。

 賃貸の場合、この表にあるような関連費用は発生しない。大切なのは、その浮いた分のお金を投資に回すことだ。

 浮いたお金を銀行口座で寝かせたり、浪費してしまうくらいなら、家を買って強制的な貯蓄として活用した方がマシだが、ここまで本書を読んできた読者の方は、浮いたお金を投資に回す習慣が身についているはずだ。

 もちろん、家を買うことがそうであるように、賃貸が誰にとっても最善な選択肢であるとは言えない。あくまで個々人の状況次第だ。

(本原稿は、『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』からの抜粋です)

ラミット・セティ Ramit Sethi

ウェブサイト「I Will Teach You To Be Rich」を運営し、お金やビジネス、心理学について幅広い読者に向けて情報を発信している。これまでにThe New York Times、Fortune、The Wall Street Journalなど多くの経済メディアで取り上げられてきた。スタンフォード大学でテクノロジーと心理学を学び、現在は妻とニューヨークに住んでいる。2023年4月より、Netflixでラミット・セティを特集した『ハウ・トゥー・ゲット・リッチ』が全世界に配信。