2月18日、米国のFRBは公定歩合を0.50%から0.75%に引き上げると発表した。
公定歩合の引き上げについては、バーナンキ議長が、2月10日に実施を示唆する発言を行なっていたものの、多くの市場関係者は、「FRBが、予想外の早期に公定歩合の引き上げを行なった」と受け取った。
それに伴い、わが国をはじめとするアジアの株式市場は、一時大幅に下落し、為替市場ではドルの買い戻しが活発化してドル全面高となり、円は一時対ドルで92円台と弱含みの展開になった。
こうした動きの背景には、FRBが公定歩合引き上げに続いて、金融政策の引き締めを実施する時期が早くなるとの観測がある。現在の世界経済は、主要国の積極的な景気刺激策と、超緩和の金融政策に支えられている部分が大きい。
金融政策の変更、つまり「出口戦略」が早まるようだと、“病み上がりの景気”の腰を折ってしまうことも懸念される。それは、まさに世界経済が抱えるリスク(地雷)といっても過言ではない。
多くの投資家は、「今回のFRBの措置によって、その地雷が爆発するかもしれない」という連想を働かせたのだ。
世界の主要国の金融政策を見ると、すでに豪州は利上げを実施している。バブルへの対応を急ぐ中国は、すでに2回に渡って預金準備率を引き上げており、「早ければ4月にも利上げがある」との観測が出ている。
主要国においては、今後金融政策の正常化を目指して、金利引き上げが続くことが予想される。ただし、そのタイミングが早すぎると、上昇傾向を辿りだした景気を、再び下落させてしまうことも考えられる。
今回のFRBの措置によって、そのリスク(地雷)の存在が、一段と鮮明になったと考えられる。今回は、米国による利上げのインパクトについて、考察してみよう。