11×11~19×19をパパッと暗算できる「おみやげ算」。刊行4か月あまりで41万部発行のベストセラーとなり、「王様のブランチ」「Nスタ」「イット!」など、テレビ、新聞でもぞくぞく紹介された『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は特に、中学受験生に圧倒的な支持を受けている。また、本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏は次のように言う。「暗算から暗記に導くことで最強の計算法になり、中学受験生にとって大きな武器になる。」どういうことか、同氏に話を伺った。

親が子に「最高レベルの計算力」をつける、たった1つの方法Photo: Adobe Stock

中学受験生に、怒涛の勢いで広がっている「おみやげ算」とは?

11×11~19×19の暗算ができる、おみやげ算の計算法を紹介します。

(例)17×13=

①17×13の右の「13の一の位の3」をおみやげとして、左の17に渡します。すると、17×13が、(17+3)×(13-3) =20×10(=200)になります。

②その200に、「17の一の位の7」と「おみやげの3」をかけた21をたした221が答えです。
まとめると、17×13=(17+3)×(13-3)+7×3=200+21=221です。

この2ステップで、例えば、11×12、18×15、16×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。

「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、以前配信した記事『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。

また、小学生向けの理由の説明は、本書の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。

中学受験で「筆算」より「暗算」が有利な理由とは?

1分1秒を争い、1点差で合否が分かれる中学受験において、「計算のスピード」を身につけることが大切です。

11×11~19×19は、ふつうは筆算で計算されます。ただし、筆算というのは意外に大変な方法です。まず紙と鉛筆を用意して、式を書いて、計算して、間違ったら消しゴムで消して、…と答えにいたるまでのプロセスが少なくないのです。

一方、おみやげ算は、紙や鉛筆は不要ですし、慣れれば5秒程度で暗算できます。このようにかなり速く計算できることが、中学受験生に本書が支持されている大きな理由のひとつです。

「暗算」から「暗記」に導くことで「最強の計算法」になる

かけ算の基本は、九九です。九九は暗記ですので、例えば、「7×5=35」と答えが瞬時に求められますね。正確性とスピードが求められる「計算」において、「(計算結果の)暗記は、最強の計算法」といえます。

以前聞いた話ですが、ある暗算の世界大会の優勝者は、膨大な量の計算結果を暗記していたそうです。計算結果を暗記しているのですから、計算をして答えを求めようとする場合に比べて、スピードが圧倒的であることは容易に想像できます。

おみやげ算は「暗算」法ですが、11×11~19×19の計算結果の「暗記」につながることも多いです。つまり、「11×11~19×19」は81通りしかないので、おみやげ算を反復練習しているうちに、例えば、「12×16=192」や「17×18=306」などの計算結果をどんどん暗記してしまう子がけっこういます

暗記は最強の計算法ですから、計算結果を多く暗記している子は、11×11~19×19をひとつひとつ時間をかけて筆算する場合に比べて、相当な計算力が身についているといえます。

上記のようなメリットをふまえ、親御さんからお子さんに、おみやげ算の習得をすすめるのはいかがでしょうか。まずは、11×11~19×19の暗算をマスターしましょう。そのうえで、「計算結果の暗記」にまでつながれば、かなり強力な計算力を身につけられます。そのために、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』がおすすめです。