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上司が部下を指導する際に、「ハラスメントになるのでは?」と悩み、言動を抑制するケースが増えています。企業も管理職層にアンガーマネジメント研修を実施するなど、対策に懸命です。しかし、それらはハラスメント事案を抑える効果はあっても、部下と上司の良い関係を築くための根本的解決にはならないと筆者は考えます。なぜなら、そこには「事なかれ主義」があるからです。地雷を踏みたくないと思えば、上司は部下に関わることを避け、部下の気持ちや成長に無関心になりかねません。
※本記事は前川孝雄『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』から抜粋・再編集したものです。
「人の心を動かす」のが本物の上司力
まずは「信じて任せる」ことから始めてみる
職責意識の高い上司ほど、(1)隘路(あいろ)に入り込み、周囲が見えなくなり、自分で全てを解決しようとする、(2)批判を否定的に受け止め、部下の異なる意見を聞き入れられなくなる、(3)威圧的になり、上司の権限をかざして一方的に命令・叱責する、(4)拙速に結論を出そうと、部下の状況や意見を顧みず決めつけて判断する、(5)マイクロ・マネジメントに走り、部下に事細かに指示し動かそうとする…などの行動を取りがちです。
しかし、これでは部下の心は離れ、やる気を失い、マネジメントは空回りし始めます。すなわち、早い成果を出そうとの焦りが、かえって成果を遠のかせる上記(
自分が優秀なプレイヤーだった上司ほど、この傾向になりがちです。仕事の当事者は部下本人であり、上司はその部下を支援するのが本来の仕事と心得ることです。自分のやり方を押し付けたり、指示や命令のみで動かそうとしたり、部下の一挙手一投足を管理するのではなく、いかに部下を信じ、任せるかが問われるのです。
部下は、上司とは違う人間ですから、成果を出すまでのプロセスも、かける時間も違います。上司の想像以上に時間を要し、予想もしない行動もあるでしょう。そうした違いを許容し、部下一人ひとりの意見に耳を傾け、各自の持ち味を活かし、信じて任せることで、チームで成果を上げることにつながるのです。
「任せる」とは、部下に責任と主体性を付与すること
私たちが実施する「上司力(R)研修」で、この「部下の違いを許容し、一人ひとりの持ち味を活かし、信じて任せる」というお話をすると、「部下の自分勝手を許していいのか」「そんなに甘やかしていいのか」との意見が一部に見られます。
しかし、「信じて任せる」ことは、部下にとって決して甘い話ではありません。「自分の持ち味が認められ、信じて任せてもらう」ことは、「自分が責任を負う」ことと同義。上司に責任転嫁することなく、自ら最大限、達成に努める姿勢が求められるからです。上司にも、余計な手出しをしない覚悟が求められます。
試合でボールを持っているのは、あくまでも部下自身。そのボールをどう運ぶかも、部下次第です。上司の仕事は、部下が才能を開花できる土俵をつくり、部下同士の協力を促し、応援することです。
こうして上司が意識を改め、行動を変えることで、部下は生き生きと働き始め、チームも徐々に自走するようになっていきます。自然にチームのパフォーマンスも上がり、一人では決して達成できない大きな成果をチームで上げることも可能になるのです。








