写真はイメージです Photo:PIXTA
上司の皆さんの中には、「組織の足並みが揃わない」「チームとして一つにまとまらない」と悩んでいる人もいるでしょう。かつてスタンダードだった「日本型組織」、つまり男性正社員中心の組織から、現代は年齢や性別、国籍や文化の違い、育児や介護の有無、雇用形態の違いなど、異なる立場や価値観を持つメンバーで構成される職場に変化しています。共に認め合い活躍できる組織を「意識的」につくっていく必要があるのです。そのためには、チームで部下それぞれの持ち味が活きる役割を明確にし、互いに協力し合える環境をつくることが重要です。
※本記事は前川孝雄『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』から抜粋・再編集したものです。
小さな力を合わせて「おおきなかぶ」を抜く醍醐味
私は、組織のあり方を説明するとき、いつも『おおきなかぶ』という絵本を紹介します。この絵本では、おじいさん、おばあさん、孫娘が次々に登場し、全員が大きなかぶを抜こうと試みますが、なかなか抜けません。犬が手伝っても、猫が手伝っても抜けずにいたところ、最後にネズミが出てきて全員が力を合わせたら見事に抜けた……というお話です。
絵本に登場するのが、おじいさん、おばあさんからネズミまで、力の弱い人や動物ばかりなのがミソです。一人ひとりの力は弱くても、みんなが力を合わせることで「おおきなかぶ」が抜けることをこの絵本は伝えています。これこそ、チームで働くことの醍醐味を表しています。
経営学者ピーター・F・ドラッカーは、「組織とは、平凡をして非凡なさしめるもの」と言っています。会社組織は飛び抜けたスーパーマンはいないもので、基本的に「普通の人たち」で構成されています。その「普通の人たち」が共通の目的のために協力することで、非凡な成果を上げることが可能になります。そして、非凡な成果を上げられるようにチームをまとめるのが、上司力なのです。
「あなただから」が部下の欲求を満たす
心理学者エイブラハム・マズローによる「欲求五段階論」を聞かれたことがあると思います。マズローは、人間の欲求は5段階の階層をなしていると説明しています。
下から順に見ていくと、
1、生理欲求……食べたい、飲みたい、眠りたいといった最も基本的な欲求
2、安全欲求……自分の生命や財産などを安全で安定した状態に置きたいという欲求
3、社会(帰属)欲求……仲間に入れてもらいたい、愛されたいという欲求
4、承認欲求……他人から尊敬されたい、自分を価値ある存在だと認められたいという欲求
5、自己実現欲求……自分の持って生まれた能力を最大限に伸ばし、発揮したいという欲求
というもので、上位の欲求は下位の欲求がある程度満たされて初めて呼び起こされるものとされています。
皆さんの部下は会社に勤めて職を持っていることから、「生理欲求」「安全欲求」は満たされていると考えられます。そこで次の段階で生じるのが「社会(帰属)欲求」、そして「承認欲求」です。会社の中でこれらが満たされることで、部下は充足感を得られると考えられます。
「社会(帰属)欲求」は、部下が組織の目的を理解・共感し、その目的に向かうチームの一員であると感じることによって、満たすことができます。
昨今、クラウドファンディングなどを通じて寄付をし、自分が共感する活動を応援する行動が盛んです。これはクラウドファンディングを通じて「自分が素晴らしい組織や活動に帰属し、一緒に貢献できている」と感じられるからだと言えるでしょう。
「承認欲求」は、組織の中での自分の役割を理解・納得し、上司や同僚、お客様などからのフィードバックから「自分だからこの役割を担っている」と感じることで満たされます。「自分だからこそ」の役割を持つということは、そのまま自分の尊厳が認められている実感につながるのです。









