「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】「甘いおやつの習慣がある子、ない子」。成人後に表れる違いとはPhoto: Adobe Stock

「甘いもの」を習慣化するリスクとは?

 乳幼児期から甘いものを食べることが習慣化していると、大人になってからタバコ、アルコール、ドラッグなどへの依存リスクが高まることがわかっています。
 糖の摂りすぎは皮膚(ニキビ)、脳(気分障害、情緒障害、学習能力の低下、集中力低下)、消化器(脂肪肝)など、全身に影響を及ぼします。脳を萎縮させ、脳機能を低下させることも研究報告されています[*99,100]。

甘いものは、食べれば食べるほど欲しくなる

 私たちの脳には、欲求が満たされると幸福を感じる報酬系という回路があります。報酬系は糖が入ってくるたびに糖の閾値(いきち)(満足する値)が上がっていくので、上限なくいくらでも欲しいと感じるようになります。日常的に甘いものを口にする習慣がある場合は、食べる頻度を下げ量を減らして、閾値を下げてあげましょう

まずは少しずつ頻度を減らして

 甘いものを摂らないようにするには、お菓子など糖分の高そうなものを「見ない、買わない、持ち込まない」ようにすることをおすすめしています。もしもチョコレートやアイスクリームを毎日食べている場合は、まず回数を減らしましょう。毎日ではなく、3日に1回、1週間に1回、とだんだん減らしていきます。そして、食品棚や冷蔵庫、冷凍庫に保管しないようにします。

 おやつをさつまいも、かぼちゃ、くだもの、ナッツ、豆類、するめ、酢昆布などに変えるほか、習い事や遊びといったことで報酬系を刺激するのも一案ですね。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)

*99 Akhter F, et al. High Dietary Advanced Glycation End Products Impair Mitochondrial and Cognitive Function. J Alzheimers Dis. 2020;76(1):165-178.
*100 D’Cunha NM, et al. The Effects of Dietary Advanced Glycation End-Products on Neurocognitive and Mental Disorders. Nutrients. 2022; 14(12):2421.