岸田首相Photo:YOSHIKAZU TSUNO/gettyimages

2070年の総人口は8700万人
異次元対策で流れは変えられるか

 2022年の出生数は、統計が取られて以降初めて80万人を割りこんだ。4月26日には国立社会保障・人口問題研究所から、2070年には日本の総人口が8700万人にまで減るという将来推計が公表された。

 岸田文雄首相は今年1月、国会での施政方針演説で「子ども・子育て予算倍増」を宣言。23年の骨太の方針で「次元の異なる少子化対策」を具体化させるとして、3月末にはたたき台である「こども・子育て政策の強化について(試案)」が、小倉将信こども政策担当相から発表された。

 現在、具体策として検討されているのは、児童手当に関する所得制限撤廃や支給期間延長・多子世帯への増額などだが、財源の議論はこれからだ。

 これまでの少子化対策が成果を上げられないでいる要因の一つに、安定した財源が確保されていないことがあったのは確かだ。

 だがそもそも、国が少子化対策を打てば子どもが生まれるようになると考えることに無理がある。

「笛吹けど踊らず」から脱却するには、地域経済の活性化や、公共インフラの効率化など人口減少への適応策も含めた総合的な少子化対策が必要だ。