お金の終活写真はイメージです Photo:PIXTA

遺産相続でもめる原因で、最も多いのは何だかご存じですか? 実は、資産の額が大きいからもめるわけではないのです。いずれくる「相続」が「争族」とならないために、いまできることとは……? 今回は「お金の終活」4つの手順について紹介します。

※本稿は、西崎 努『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。

年齢とともにお金の断捨離を

 年齢とともに、サテライト(攻めの投資)の資産は徐々に減らしていきましょう。リスクを減らす分には一気に全部切り替えしてもいいですし、徐々に減らしていってもいいでしょう。ちなみに私がシニア世代にアドバイスする場合は、個々人の事情を考慮しつつ、コア(守りの投資)が80~100%、サテライトが0~20%の割合を目安にしています。

 私たちの経験上、ほとんどの人が75歳程度からそれまでとは違う体の衰えや判断能力の低下を実感されており、80歳を超えてくると、さらにもう一段階変化が訪れているようです。

 80歳を目処に、資産の管理をできるだけシンプルにしておくことが大切です。取引する金融機関など口座も減らし、資産運用も無理せず現金化して、いつでも使えるようにしておくことを心掛けるべきです。健康なときには何でもない手続きややり取りが、怪我や病気の際には多大なストレスや身体的な負担になりかねません。

 いずれ起きる相続のことを考えても、身の回りを適度に整理するということは老後の生活を快適に過ごすためにも忘れないようにしましょう。

相続対策は無理にしなくてもよい

 資産運用において相続「税」対策を気にする人もいます。相続対策は誰しも必要ですが、税金の対策となると話は変わってきます。

 80歳くらいの高齢になってから一気に対策しようとして不動産を購入する方もいますが、そうしたやり方は逆効果になることが少なくありません。

 現状で最善の対策を講じたつもりでも、将来、税制が変わったりすることも十分ありえますし、そもそも税金逃れ、いわゆる「租税回避行為」と判断されれば節税効果は認められません。資産があれば金融機関もいろんなスキームを考えて、ローンを出してくれることもありますが、それを税務署が認めてくれるかどうかは別問題です。

 相続税対策は時間を味方にするのが一番です。不動産であっても計画的な購入をするべきですし、遺言などを活用しながら、時間をたっぷり使って取り組むのがおすすめです。

 また、資産を残す側(被相続人)の思惑だけで行うのもよくありません。金融機関や不動産会社は被相続人に対して、経済的なメリットを重視して盛んに提案してきます。

 ところが、配偶者や子どもなどの相続人は「相続税を払ってもいいから、シンプルで手間がかからないほうがいい」と考えていたりするものです。売却するのに時間がかかる資産や、処理に大変な手間がかかる契約など、普段の生活に負担がかかるぐらいなら、税金を払っても気にならないという方も少なくありません。もともと自分の資産ではないのですから。

 相続では、無理に税金対策をする必要はありません。もし行うのであれば配偶者やお子さんの意向も踏まえながら取り組むのがよいと思います。残される人の中には、お金よりも、バタバタせずに故人を偲ぶ時間を大切にしたり、普段の生活に影響が少ないことを望む人も多くいます。お金は大切ですが、お金以外のことにまったく目を向けないまま相続税対策をすることはおすすめできません。

「お金の終活」4つの手順

 シニア世代の資産はいずれ相続によって配偶者や子、孫へと引き継がれていきます。そのときに向けて取り組むのが相続対策、「お金の終活」です。「お金の終活」にどのような手順で取り組めばいいのか、4つのポイントを挙げてみます。

(1)配偶者や子どもの意向を確認してみる

 本人がよかれと思ってしたことが、実は配偶者や子ども、孫の希望とは違っていた…というのは、お金の悩みでよくある話です。被相続人である本人の意向だけではなく、相続人の意向も確認しておかなければ、残念な結果になりかねません。

 だからこそ、まずはお互いの意向を確認してみることです。相続について、そこまで具体的に考えて行動している方はあまりいないかもしれません。まずはざっくりでも「いずれこうしたいと思っているんだ」といった感じで、きちんと話題にするところから始めてみてください。

 本人が高齢になれば、自然と配偶者や子どもたちには心配事が出てきているはずです。