相続&生前贈与 65年ぶり大改正#10Photo:PIXTA

2023年度の税制改正大綱では、これまで敬遠されていた「相続時精算課税」制度も改正される。議論の過程で初公開された利用実態から、一部の超富裕層が活用していたことが分かる。利用が広がっていない相続時精算課税制度はどう改正され、どんな場合だとお得なのか。特集『相続&生前贈与 65年ぶり大改正』の#10では、今後注目が集まりそうな相続時精算課税制度の改正について解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2023年1月7日・14日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

税制改正で年110万円の控除を新設
相続時精算課税制度は広まるのか

 2500万円までの贈与には贈与税がかからないが、相続発生時に相続財産に加算して課税する「相続時精算課税」制度。2003年に創設され、「相続税と贈与税の一体化」という目的を先取りした制度なのだが、利用は広がっていない。

 今回の改正では、年110万円の基礎控除の新設など、使い勝手向上もうたわれている。それでも税理士法人レガシィの天野隆会長は、「長生きすれば暦年贈与の方が圧倒的に得だ」と断言する。

 そもそも制度の恩恵がある人は限られるというのが、相続専門の税理士の共通認識だった。いったいどんな人が使っていたのか。次ページでは、相続時精算課税制度がお得になる条件など、利用のポイントについてお届けする。