相続&生前贈与 65年ぶり大改正#5Photo:PIXTA

「孫の教育資金を娘が使ってしまった」「飼い猫に生前贈与したい」。生前贈与に関係するトラブルは枚挙にいとまがない。特集『相続&生前贈与 65年ぶり大改正』の#5では、専門家への相談が多い生前贈与を巡る5大トラブルの事例と解決法をお届けする。(ダイヤモンド編集部 野村聖子、監修/税理士法人弓家田・富山事務所代表社員、税理士・弓家田良彦)

「週刊ダイヤモンド」2023年1月7日・14日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

Q1
孫の教育資金で贈与したのに、娘が旅行や宝飾品に使ってしまった。
返してもらえる?

 横山和俊さん(仮名・60代男性)は、孫(長女の子)の教育資金のために、毎年110万円までなら非課税になる暦年贈与を利用していた。孫はまだ小学生なので、長女に財産の管理を依頼し、贈与契約書にも「孫の教育資金」を用途として明記した。

 しかし、贈与を始めて3年がたっても、一向に孫が塾や習い事に通ったりしている様子が見られない。実は贈与したお金のほとんどを、長女が自分の趣味や旅行に使い込んでいたことが発覚した。

相続のイラストIllustration by Saekichi Kojima

 怒り心頭の横山さんは「金を返せ!」と長女に迫ったものの、当の長女は悪びれもせず「返そうにも、ない袖は振れない」と言う始末。実の娘の愚行に、横山さんはショックのあまり、数日寝込んでしまった。何とかお金を返してもらう方法はあるのだろうか。

 次ページでは、孫への教育資金贈与の親の使い込みへの対策や、飼い猫への生前贈与など、専門家への相談が多い生前贈与を巡る5大トラブルの事例と解決法をお届けする。