最速で美味しいコーヒーを淹れる方法

――始めるときは、最初からスケール(はかり)を買うのがよさそうですね。

 きっと初心者は、最初にスケールを買おうとは思わないはずです。でも、買うまでは面倒くさく感じるかもしれませんが、買ったら、めちゃくちゃラクになるんですよ。

 コーヒーは抽出のステップが一番面倒くさいですよね。そこが、ワインと一番違うところです。ワインは抜栓したら、そのまま作り手の最高の味を楽しめますが、コーヒーは淹れ方によって味が大きく変わります。

 100gあたり1万円する高級なコーヒー豆を買ってきても、淹れ方に失敗すれば、不味いコーヒーになります。それがコーヒーの難しいところです。でも、スケールを使うだけで、一気に美味しくなるんですよ。コーヒー専用のスケールだって、そんなに高くないと思います。

【『行列のできる相談所』出演】神バリスタ・井崎英典が教える世界一美味しいコーヒーの淹れ方【書籍オンライン編集部セレクション】

 ちなみに、『世界一美味しいコーヒーの淹れ方』で詳しく紹介していますが、プロは抽出比率だけではなく、「粒度」(豆の挽き目)を色々と変えることで、好みの味に近づけています。でも、それも考え方のベースは数字です。

 数字を測ることは、一見面倒に思えるかもしれませんが、美味しいコーヒーを淹れられる最も確実な方法であり、抽出が楽しくなる近道です。また、数字で微調整できますから、難しいことは考えずに、誰もが自分の好みの味に近づけることができます。遠回りせずに、最速で美味しいコーヒーを淹れるためにも、まずはスケールを買いましょう。

――おすすめのスケールを教えてください。

 最初は、どこにでもあるキッチンスケールでいいと思います。時間はスマートフォンで測れば済みますし。100均で売っているものでも全然問題ないと思います。

 カッコよく測りたいとか、道具にこだわりたいという人なら、0.1単位で測れる、専門のコーヒースケールを買ってみてください。普通にネットでも売られていますし、買うハードルは全然高くないはずです。

 最も一般的なのは、HARIOの「V60ドリップスケール」です。

【『行列のできる相談所』出演】神バリスタ・井崎英典が教える世界一美味しいコーヒーの淹れ方【書籍オンライン編集部セレクション】V60ドリップスケール(HARIO)

 抽出時間と重量を同時に測ることができるコーヒー専用のスケールとして、世界中で幅広く使われています。時間とスケール機能が並列にディスプレイされており、容易に抽出状況が把握できます。抽出に必要最低限の機能しか実装していないので、価格もお求めやすく、まずはコーヒー専用のスケールが欲しいというユーザーにうってつけだと思います。

 ちなみに、私は、acaiaの「acaia コーヒースケール pearl」というスケールを使っています。スペシャルティコーヒーに特化したブランドのスケールです。この製品はスケールと端末をBluetoothでつなげることで、自分のお気に入りのレシピを保存したり、共有できたりする優れものです。

 また設定したレシピをもとに、達成率も表示されますので、視覚的にもわかりやすく、自分の抽出の出来不出来を客観的に理解できるのも特徴です。

【『行列のできる相談所』出演】神バリスタ・井崎英典が教える世界一美味しいコーヒーの淹れ方【書籍オンライン編集部セレクション】 acaia コーヒースケール pearl(acaia)

 美味しいコーヒーを淹れるには、品質が高く新鮮な豆を買うことが何より大切ですが、最初はどう選べばいいかわからない人が多いと思います。豆選びについても『世界一美味しいコーヒーの淹れ方』で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

 いずれにしろ、まずはスケールでコーヒー豆やお湯の重さを測り、数字で抽出比率を微調整しながら、自分好みの味に変えていってください。本当にそれだけで、どんな人でも各段に美味しいコーヒーが淹れられるようになります(了)。