米連邦債務上限引き上げを巡る与野党の攻防において、ジョー・バイデン大統領に望ましい選択肢など存在しない。
バイデン氏と議会共和党の交渉が合意に至らなければ、米国は6月1日にもデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある。そして、どのような道筋をたどっても、バイデン氏にとっては政治的リスクをはらむ。
米政府がデフォルトに陥れば、バイデン氏が再選を目指す中、米経済はリセッション(景気後退)入りし、世界の金融市場に大混乱を招きかねない。議会の承認を得ずに債務支払いの手当てを行うという前例なき手段を発動しても、経済的代償からは逃れられない。そしてバイデン氏は、先に支払われるべきは誰かという、政治的に痛みの大きい選択を迫られるだろう。