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ChatGPTの登場は、「日本人と英語力」の大きな分岐点となるのでしょうか? AI翻訳が進化すれば、英語力格差が拡大する一方で、「英語ができないと…」といった“国民的呪縛”が断ち切られるかもしれないと筆者は説きます。さらには英語力下位層が「大化け」する可能性も秘めているとか…!?(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)

AI翻訳が進化しても「英語は大事」なのか?

 最近、ChatGPTが注目を集めていることもあり、「AI翻訳が進化すれば、英語学習は不要になるのでは」といった議論も活発化している。

 AI翻訳に関して筆者は、少なくとも次の二つの問題は今後も解決されないと考えている。

1.機械翻訳の犯し得る「明らかな間違いに気づかない危険」と、常に隣り合わせである。

2.文化背景の違いによるミスコミュニケーションは防げない。例えば、日本的ロジック(特に、自分の意向をくみ取ってもらうような書き方・話し方)が、文法的に正しく洗練された英語に翻訳されても、受け手にとっては意味が通じないことが多い。

 とはいえ、急速に進化する機械翻訳は、日本人が英語と付き合っていく上で「大きな選択肢」を与えることになるだろう。

 それは、英語が話せる人と話せない人の格差がこれまで以上に拡大する一方で、「英語は大事」といった従来の常識から解き放たれた一部の人達が、「大化け」する時代が来るのではないかということだ。

 どういうことか? まず、AI翻訳が日常化していく状況において、英語力「上位」「中間」「下位」の三つの階層に分かれていくと筆者は予測している。それぞれ三つの階層の典型例と、格差が拡大するメカニズム、そして「下位層が大化けする理由」について考えてみよう。