何を考えて、具体的にどんな行動を取ったのか――。その積み重ねで成熟していくのが人間です。ChatGPTの登場により過渡期を迎えている現在、問題を解決することだけを大切にする人と、それと同時に感性も大切にしようとする人では、後者の方が、将来的に個性を武器にしやすくなるのは間違いないと思います。(作家、株式会社HIROWA代表取締役、京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授 和田裕美)
AIが世の中の形を変え始めている
最近、「ChatGPT」を耳目に触れる機会がぐんと増えました。人間の質問に対して巧みな文章作成で答える、高性能な人工知能(AI)のことです。ChatGPTほど高度でなくても、AIは今やあらゆる場面で活用されています。
テクノロジーに明るい人なら、キャッチアップはそれほど難しくないのでしょう。けれど私からすると、そうしたAI事情は、なんとまあ進化スピードの速いこと速いこと。私が理解し使いこなせるようになった頃には、さらにもっと先へ進歩していそうです。
だから、焦っても仕方ない。ここはあえて、「人間として大切なことを失わないようにするにはどうしたらいいか?」といった自問自答をするのが大切だと思います。
ChatGPTのようなゲームチェンジャーが出現すると、世の中の反応は大きく二つに分かれます。「AIとうまく付き合った方いい派」と「AIに支配されるのは怖い派」です。
人間は変化を嫌う生き物ですから、未知の何かに遭遇したとき、「よくわからないから遠ざけておいた方がいい」と考える人もいます。どちらが正解・不正解ということでもないからこそ、議論が生まれます。
画像も文章もAIで簡単に作成できるのは、すごく便利なことです。半面、イラストレーターの仕事には明らかに打撃がありそうですし、実のところ作家の私も戦々恐々としています。ちなみに、ChatGPTの基盤である「GPT-3」が学習に用いたデータ量を、日本の文庫本に換算すると、なんと2億2500万冊分にも上るそうです。
先日、伊集院光さんのラジオ「深夜の馬鹿力」を聞いていたところ、AIについてお話されていて、すごく共感しました。