「必ず治します!」と宣言する
外科医は疑ってかかるべし

 まともな外科医ならば、手術の前には相応の時間(30分以上)を使って、手術が成功した場合のみならず予想されるリスクや他の手段(抗がん剤、放射線など)についても説明するものである。

 しかしながら、竹田くん系医師は自分が手術をしたいがために「必ず良くなる」など安易な成功を約束し、リスクの説明はおざなりのことが多い。

 しかも、病気で不安を抱える患者や家族は「ダラダラと暗い話をする(が誠実な)外科医」よりも「必ず治します!」と宣言する竹田くん系医師に飛びついてしまいがち。「必ずもうかる!」と宣伝する投資案件が詐欺であるように、「必ず治す!」外科医は疑ってかかるべきだ。

 さらに言えば、現実の手術とは「塾や予備校のように、現状からワンランク上の状態に改善すれば成功」なのであり、テレビドラマのような「天才外科医が手術したら、寝たきり患者が完治」といった事例はあり得ないことを認識すべきである。

 また、竹田くん系医師のいる医局では、尻ぬぐいをさせられて病院に愛想をつかす若手医師の転職が相次ぐので、「病院ホームページに載っている外科の医師名が減る一方」なのは、かなりヤバいサインである。

 その結果、自分や身内の担当医が「竹田くんっぽい」と感じた場合、どのように最終判断すればよいのだろうか。

 一つの判定方法は、担当医がいない場所で研修医やベテラン看護師などに、相手の目を見つめて「父をC教授に手術してもらって大丈夫でしょうか」と確認することである。相手が目をそらさず「大丈夫ですよ」と返してくれるようならばよいのだが、複数の相手が目をそらしたり、「私は良く分からない」など話題を変えるようならば、転院を検討すべきである。

 現在の法律では、残念ながら「手術が下手」という理由で外科医を解雇することは困難だ。『脳外科医 竹田くん』に登場する赤池市民病院のように、院内安全委員会などによる手術禁止勧告で窓際ポストに追い込むのが精いっぱい。それは他のまともな同僚の過労にもつながり、若手医師の外科離れの一因にもなっている。

 根本的な解決方法は、やはり解雇規制緩和による金銭解雇しかないと思う。医師免許があれば、手術センスが壊滅的な医師でも「脱毛クリニック」などに転職すれば年収1000万円は保障されるので、突然の解雇でも飢え死にすることはないはずだ。

 竹田くん系医師のみならず、公立病院でネット三昧の窓際医師などを医師労働市場に戻し、各自のスキルや労働意欲に見合った適切なポストに再配置するためにも、医師免許保有者限定でよいので、大胆な解雇規制緩和や構造改革を期待したい。