新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、サッポロホールディングスの「ビール」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
ビール3社とも増収も
利益面は三者三様
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のビール業界3社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(3社とも23年1〜3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・キリンホールディングス
増収率:8.1%(四半期の売上収益4503億円)
・アサヒグループホールディングス
増収率:12.0%(四半期の売上収益5563億円)
・サッポロホールディングス
増収率:16.6%(四半期の売上収益1088億円)
ビール業界3社全てが増収となった。これは行動制限が緩和され、外食需要が増えたことが大きな共通要因として挙げられる。
ただ、利益面を見ると、各社が抱えた課題や特徴が見えてくる。
各社が増収した要因と、利益面はどうなっているのか、次ページで詳しく解説する。