こだわりはビジュアルから伝達へ
以上からわかるのは、伝え方を一歩間違えれば、どんなにポテンシャルのある企画でもボツになる可能性があるということだ。もし「∞プチプチ」の企画説明で実際のプチプチを登場させなかったらどうなっただろう。
それを考えれば、企画書のつくり方やプレゼンの仕方が極めて重要だということが理解できると思う。そして、企画書やスライドの最初の一歩は、読んでもらうこと・見てもらうことである。内容を理解してもらうためには、興味を持って読んでもらわなければどうしようもない。
そこで、企画書やスライドに見た目のインパクトを盛り込んで、目を引く手法が流行してきた。パワーポイントなどのプレゼン用ソフトには、スライドの切り替え効果やアニメーションもたくさん採用されている。
もちろん、こうしたビジュアル面のインパクトを重視するのは悪いことではないし、目立つのも大切なことだ。しかし、企画書にとって本当に大切なのは、見た目ではなくあくまでも中味である。さらに言えば、その商品やサービスが実現したときに得られるメリットをわかりやすく伝えることである。ビジュアル等はその目的のために使うツールにすぎない。
新たな食品を企画するなら、企画書よりも試食が重視される。衣服などのファッションでも、企画書よりも実際のサンプルが意味を持つ。書類より実物こそが判断を下すポイントになるのは疑う余地がない。ところが、多くの商品やサービスでは簡単にサンプルを作ることができない。そこで、紙やスライドで「企画」として間接的に伝えるノウハウが発達してきたのだ。
もう一度原点に立ち返って、企画書の役割を明確に意識してほしい。企画書の使命とは、商品やサービスのなんたるかを明確に伝えることだ。それができずにボツになった企画はないか、よく考えてもらいたい。そのなかに潜在的な大ヒット商品が隠れているかもしれないのだから。
※第2回は、3月1日(金)に配信予定です。
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Jagabee[じゃがビー](カルビー)
消臭力(エステー)
プラス糀(マルコメ)
ポメラ(キングジム)
ウィメンズパーク(ベネッセ)
∞プチプチ(バンダイ)
サンシャイン水族館(サンシャインエンタプライズ)
フィットカット カーブ(プラス)
ぶっかけ!おかずラー油(エスビー)
ルクエ(コラムジャパン)
ピグチャンネル(サイバーエージェント)
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