今回から3回の連載で『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』の取材で見えた企画のテクニックをご紹介しよう。取材時にインプットできた裏話も交えて話を進めていくつもりだ。
第1回目は、ボツになった企画をよみがえらせる方法である。『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』に収録した商品のなかにも、そうした苦難を乗り越えて大ヒットを実現したものがいくつもある。
一度くらい企画がボツになっても落ち込む必要はまったくない。大切なのは、再チャレンジする際に何が必要かを知って実践することだ。
よみがえりを狙うべき企画と
諦めたほうがよい企画
まずは、ボツになった企画書を2つのパターンに分けて考えよう。 図1をご覧いただきたい。パターンAは、企画の内容そのものがダメだと判断されたケースだ。企画提案者もその判断に納得できるのであれば、よみがえらせることは諦めよう。ジャッジが変わる可能性は少ないし、提案者が自信を持てないものをゴリ押ししても意味はない。頭を切り替えて、早く別の企画を考えたほうがよい。
よみがえらせるべきなのは、パターンBである。内容が正しく伝わっていないということは、「企画」としてはアリかもしれないが、「企画書」に問題があるのかもしれない。
そもそも、内容が正しく伝えられない時点で「企画書」としてはアウトである。あなたの作った企画書やスライドは、果たすべき役目を果たせなかったのだ。ダメな企画書のせいで、素晴らしい「企画」が正しくジャッジされないのは余りにももったいない。
そもそも、企画書の役目が「企画を通すこと」だと思ったら大間違いだ。それはあくまでも結果であって、企画書の真の役目は「企画を正しくジャッジしてもらうこと」にある。
そのためには、伝えたいことを100%反映させた企画書にするのが重要だ。企画内容がきちんと伝わらずに、「わからない」とか「これが売れるのか?」と、説明する相手が疑問を呈しているようでは失格だ。
もちろん、企画書がダメなだけでなく、相手がその内容に関する知識をもっていない可能性もある。だが、「わかってくれない」と泣き言を言っても始まらない。その相手が企画可否の権限を持っているのであれば、わかってもらう工夫をするしかない。相手のレベルや関心に合わせて「伝わる企画書」をつくるのは、提案者の大切な仕事なのだ。