横断歩道を渡るビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

2023年は以前から「コロナ融資の返済本格化」に伴う倒産増加が懸念されてきたが、それは現実のものとなるのか。今回は「2023年、コロナ融資の返済本格化」の背景・実態を解説するとともに、注目すべきデータから、今後の倒産動向について考えてみたい。(帝国データバンク情報統括部 阿部成伸)

コロナ融資の返済が
2023年に本格化する理由

 通称「ゼロゼロ融資」など中小企業向け各種支援策による倒産抑制期間(2020年8月~2022年4月)が終わり、増加局面(2022年5月~)に転じて1年が過ぎた。

 帝国データバンクが発表した2023年5月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は、前年同月(517件)を34.2%上回る694件となり、13カ月連続で前年同月を上回った。

 また、今年1月~5月の累計件数は3224件で前年同期(2501件)を28.9%も上回っている。仮にこれまでの勢いが続けば、2023年の年間倒産件数は前年(6376件)を2000件近くも上回る8200件前後となる。

 こうしたなか、2023年は以前から「コロナ融資の返済本格化」に伴う倒産増加が懸念されてきたが、それは現実のものとなるのか。今回はこの「2023年、コロナ融資の返済本格化」の背景・実態を解説して今後の倒産動向について考えてみたい。