「若者の活字離れ」は、もう随分前から懸念されてきました。ただ、最近では、「ヘビーな読書家」と「まったく読書をしない」タイプへの二極化が激しく進んでいるように感じられます。
一方で職場の上司は、すべての若手社員が平均的に読書をして、それを仕事に役立ててほしいと願っているようです。そんな上司の期待に対して、部下たちはどう感じていると思いますか?また、電子書籍も含めて、仕事に役立てるための読書をどのようにしていくと効果的なのでしょうか?
今回は、部下に読書を強要する上司を例に、若者の本とのあるべき付き合い方について、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
上司が部下に「読書」を強要!
読書量が人格の善し悪しを左右する?
「少し気が滅入っているんだ。1杯付き合ってくれないか?」
専門商社に入社して3年目のGさんは、学生時代の友人にこうメールを送り、飲みに誘いました。Gさんは学生時代にサークルを仕切っていたようなリーダータイプ。そんな明るい彼が、悩みに打ちひしがれている状況なんて想像できません。ゆえにその友人はとても心配になり、仕事を早めに片付けてGさんと会うことにしました。
「場所はうちの職場から離れたところがいいな」
との願いも追加で送られてきたので、友人はGさんを自分の職場のそばに呼び出すことにしました。一体、何に悩んでいるのか?気になって仕方ありません。
さて、2人が落ち合ったのは19時過ぎ。場所は個室のある居酒屋です。
「久々なのに、急に連絡してゴメンな」
到着したGさんの声も何となく力がありません。友人は1杯目のビールを注文。お互いの近況など報告し合いながら、あっという間に飲み干してしまいました。ただ、よくよく考えてみれば、Gさんはあまりお酒を飲まないタイプ。それにもかかわらず、今日はグイグイとビールを飲んでは追加注文。やや気分を発散させたい様子です。30分ほど経過したところで、ようやくGさんは悩みを切り出しました。
その内容は上司から「本を読め」と強要されること。日常の会話で常識が無いと指摘されることがあり、ついには、
「本を読まないから人間力が高まらないのだ。月に4冊以上読んで感想を提出すること」
と無茶な指示を受けたようです。しかも、懸命にその指示をこなしたにもかかわらず、読んだ本に対して「センスが悪い」とか「そんな本を選ぶなんて…」と嫌味を言われる始末。