経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!
※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【元国税専門官が明かす】<br />所得が多いほど税負担率が下がる「1億円の壁」とは?Photo: Adobe Stock

税率が高くなりやすい「総合課税」

【前回】からの続き 会社員の給与所得や、個人事業主の事業所得、公的年金などは、「総合課税」という扱いになっています。

この総合課税の場合、各所得の金額が合算されたうえで、5~45%までの「超過累進税率」が適用されます。

このほかに「住民税」として10%、「復興特別所得税」として所得税額の2.1%が加算されるしくみです。

他の所得とは別に計算される「分離課税」

これに対して、株式や投資信託などの売却益や配当金(以下、運用益)にかかる所得は「分離課税」というルールが適用され、総合課税の所得とは分けて計算されます。

運用益にかかる所得税・住民税・復興特別所得税を合計した税率は、一律20.315%です。つまり、どれだけ投資で儲かったとしても税率は2割程度で済むというわけです。

また、つみたてNISAやiDeCoといった、運用益を非課税にする制度も複数あり、これらを使えばさらに税負担を抑えることが可能です。

労働から投資へのシフト

前述の「1億円の壁」からわかるのは、富裕層が「給料や事業などの労働収入」から「投資による不労収入」にシフトして、税負担を抑えているということです。

こうしたシフトは理にかなっています。私はできるだけ長くフリーランスとして仕事を続けたいのですが、今の仕事量を何歳まで続けられるかはわかりません。

いずれ体力的にも精神力的にも、今ほどの仕事量をこなすのがしんどくなったり、依頼を受ける仕事量自体が減ったりする日は訪れるでしょう。

“ほったらかし”の投資で資産運用

でも、投資で利益を得るのは高齢になっても続けられます。後ほど説明する長期投資や分散投資をベースとした運用方法であれば、基本的に“ほったらかし”ですから、年齢は関係ありません。

老後は、自分にとって無理のないペースで仕事をしつつ、あとは資産運用で収入を得ることができれば理想的です。

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。