経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!
※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【元国税専門官が明かす】「1億円の壁」と呼ばれる高所得者優遇のカラクリPhoto: Adobe Stock

労働から投資へのシフトで
「1億円の壁」をこえる

【前回】からの続き ある程度の所得がある富裕層にとっては、「働いて稼ぐ」よりも「投資で稼ぐ」ほうが確実に税負担が少なくなります。これも富裕層のなかに投資に熱心な人がいる理由だと考えられます。

そのことがわかる資料を見てみましょう。下記のグラフは、日本の納税者の所得税の負担率を示したものです。

横軸は「合計所得金額」であり、右に行くほど高収入になります。そして縦軸は「所得金額に占める所得税の負担率」を示しています。

【元国税専門官が明かす】「1億円の壁」と呼ばれる高所得者優遇のカラクリ

所得が1億円以前と
1億円以後の税負担

グラフを見るとわかるように、合計所得金額が1億円までは、グラフの線が右肩上がりになっています。ところが、合計所得金額が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がりはじめます。

普通に考えれば、合計所得金額に比例して負担率は右肩上がりに増えていきそうですが、そうではないのです。

この一見不可思議な現象は、「1億円の壁」と呼ばれており、税率構造に起因します。【次回に続く】

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。