100年前の通販カタログが示唆する未来、イノベーションは長期停滞を打開するのか?シアーズ・ローバックカタログ復刻版を基に筆者作成

GXやDX、半導体への投資
経済成長をもたらすのか

 経済の長期停滞を脱却するということで成長戦略やイノベーション促進が掲げられてきた。

 岸田政権でも成長分野とされる脱炭素のGX(グリーントランスインフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)、半導体などでの企業の投資促進や研究開発支援などが打ち出されている。

 だが企業によるイノベーションの方向性は、経済の長期停滞を打開するのだろうか。

 私もよく行く家電量販店のショッピング・バッグを見ると、日本の高度成長を支えた名だたる大手メーカーのロゴが書かれている(写真1)。

 それらの企業は今、例えば、AIや5G(第5世代移動通信システム)、ホームエンターテインメント、スマート家電、スマートフォン、ウェアラブル端末、ゲーミング機器、小型カメラ、ミラーレスカメラ、健康器具などの製品や、取引で発生する個人情報を保護するためのサービス、通信機器の安全性を管理するシステムなどに力を入れている。

 さらにそれらを取引するためのファイナンシャルサービス、クレジットカード事業など支払い決済、決済代行事業、個人向けローンなどが加わる。

「高付加価値」の製品やその分野への参入が売り上げや収益増につながるということが、イノベーションに注力する最大の誘因のようだ。

 だがそれがかつてのような企業や経済全体の成長をもたらすことになるのか、筆者には疑問に思える。