日本企業「効率性は世界51位」でギリシャ以下、地に落ちた日本に欠けるものPhoto:PIXTA

「なぜ日本でイノベーションが生まれないのか」の連載2回目では、EV(電気自動車)のトップメーカーとなった米テスラのイノベーションを生む土壌を検証した。3回目では、米モデルナ、米テスラのケースと比較しながら、今の日本に欠けているものを浮き彫りにする。(日興リサーチセンター研究顧問 東京大学名誉教授 吉川 洋 日興リサーチセンター理事長 山口廣秀 日興リサーチセンター理事長室 前室長 井筒知也)

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1人当たりGDPは00年の世界2位から
21年には28位に転落

 第1回で述べた通り、先進国の経済成長、とりわけ1人当たりのGDP(国内総生産)の成長を生み出す原動力はイノベーションである。

 日本経済については、人口が減少し働き手(労働力人口)が減っていくのだから成長できるはずがない、という悲観論が根強くあるが、1人当たりのGDPの動きは人口減少とは関係がない。それを決めるのはイノベーションである。

 そこでIMF(国際通貨基金)の統計により1人当たりGDPの推移を見ると、2000年には「失われた10年」を経た後であるにもかかわらず、日本はルクセンブルクに次いで世界第2位だった。

 しかし、10年後には18位、さらにアベノミクス8年の後の2021年には28位まで落ち込んだ。21世紀に入ってから過去20年、日本経済低迷の原因は、イノベーションの停滞に求められなければならない。

 次ページ以降、日本経済の低迷の実態に触れつつ、イノベーションが起きない理由を解き明かしていく。