2024.11.12
トランプ圧勝後の“黄金時代”の危うさ、「MAGAファシズム」で何が転換するのか
米大統領選でのトランプ前大統領の勝利は産業空洞化や移民流入増に不安を強めた白人労働者や保守派に「米国第一」の反グローバリゼーションを明確にしたことが大きい。だが第2期政権は保護貿易や移民規制強化にとどまらず、LGBTQへの攻撃や中絶権利…
獨協大経済学部教授
ほんだ・ひろくに/1961年生。91年一橋大大学院(博士号取得)、97年獨協大助教授、カリフォルニア大客員研究員を経て2005年より現職。専門はアメリカ経済論、著書に「アメリカの資本蓄積と社会保障」、「長期停滞の資本主義ー新しい福祉社会とベーシックインカム」など。
2024.11.12
米大統領選でのトランプ前大統領の勝利は産業空洞化や移民流入増に不安を強めた白人労働者や保守派に「米国第一」の反グローバリゼーションを明確にしたことが大きい。だが第2期政権は保護貿易や移民規制強化にとどまらず、LGBTQへの攻撃や中絶権利…
2024.10.26
トランプ氏の岩盤支持層である白人保守層は公民権法制定で人権やマイノリティーへの「行き過ぎた配慮」がされるようになった結果、建国時の憲法で掲げられた「自由」が制限され白人が抑圧されてきたとの被害者意識がある。だが白人労働者らの“地盤…
2024.8.5
民主党の大統領選候補者指名が濃厚なハリス副大統領が勝利する鍵は、ウクライナ戦争とイスラエルのガザ攻撃を停止に向かわせるかどうかだ。ハリス氏はバイデン氏と違って外交経験やしがらみが少ない分、和平に向けイスラエルなどに強い姿勢を取り、…
2024.7.19
トランプ前大統領が、共和党の大統領選候補に正式に指名された。直前の暗殺未遂事件が党内結束のてこになり、さらには無党派層の支持を増やした。大統領選での「ほぼトラ」が加速した感があるが、大統領に権限を集中する「帝王的大統領」を目指すト…
2024.7.3
米大統領選挙に向けたテレビ討論会でバイデン大統領は問題視されていた「高齢不安」を露呈したが、すでに判断能力への懸念から大統領が外交・安全保障政策の立案から外れていたとの情報もある。民主党は窮地打開にはバイデン氏の不出馬だけでなく、…
2024.4.7
米大統領選挙の「主役」となっているトランプ前大統領に対しては、岩盤支持層の根強い支持がある一方で、専制的な統治志向や差別発言、偽情報を織り交ぜ対立や憎悪をあおる言動などから「もしトラ」の不安が強まる。トランプ現象の背景にあるのは既…
2023.12.15
キッシンジャー米元国務長官が米中国交回復や旧ソ連との軍縮に道筋をつけた功績は歴史に残る。しかし、大国の「勢力均衡」を最優先する冷徹な現実主義外交はベトナム戦争の長期化やカンボジアへの拡大、バングラデシュやチリの軍事クーデターなどで…
2023.9.21
物価上昇が続き政府は追加物価対策をまとめる方針だが、金融政策は「緩和維持」でいかにもチグハグだ。緩和政策の波及経路や効果が複雑で、長く緩和が続くことが見過ごせない弊害を持つことは経済学者が古くから指摘してきたことだ。
2023.6.20
経済の長期停滞脱却のためイノベーションの促進が官民の課題とされているが、需要は飽和し製品などの性能も過剰過ぎる「余剰経済」だ。技術革新で付加価値や需要が高まり経済成長につながる度合いは少なくなっている。
2023.3.22
チリのアジェンデ政権が軍事クーデターで崩壊した背後にはニクソン政権の関与があり、米国の「代理戦争」の原型だった。ウクライナ戦争や中国・台湾紛争に通じる大国の介入主義の実相を知るためにも真相解明は重要だ。
2022.11.4
接戦が予想される米中間選挙の鍵は白人労働者を中心にしたトランプ信者の存在だ。トランプ信者と伝統的な共和党支持層との溝も深まっており、結果次第では米国の分断と混乱が一層増す。
2022.8.11
日米でインフレ率に差があるのは経済政策や企業の価格支配力の違いがある。日本の物価が“安定”しているのはアベノミクス以来、賃金は上がらず国民の多くは消費増税のような緊縮政策の影響を大きく受けてきたからだ。
2022.4.25
米国でサプライチェーンの混乱が長引く背景にはコンテナや鉄道、トラック業界の行き過ぎた規制緩和がある。効率化や寡占化が進んだことで、供給の柔軟性や余力を失ったからだ。
2022.2.11
米中間選挙の最大争点のインフレ対応では3つの立場が入り混じる。バイデン政権は巨大企業の恣意的な価格引き上げをやり玉に挙げているが、インフレ抑制に失敗すれば“トランプ復活”が現実味を帯びてくる。
2021.11.15
米議会中間選挙の前哨戦だったバージニア州知事選での民主党敗北の背景には、共和党の人種問題を争点に分断をあおる戦略にバイデン政権のリベラル政策が浸透しきれない状況がある。
2021.5.21
チェイニー米下院共和党会議議長の解任劇は共和党内のトランプ前大統領の影響力の根強さを物語る。来年の中間選挙を控え「トランプ主義」が強まり米政治の「極性化」が進む懸念がある。
2021.3.1
弾劾裁判の「無罪評決」でトランプ前大統領の共和党内での影響力が維持されそうだが、もしもキリスト教原理主義や「環境否定論」が米国を支配すればどうなるか。近未来小説はその絶望的な帰結に警鐘を鳴らす。
2021.1.8
コロナ禍で生活支援などの直接給付が行われベーシックインカムが注目されているが、議論の根底には経済停滞が続くなかで成長と完全雇用を前提にする従来のセーフティネットが劣化し再構築が必要なことがある。
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