少し前に話題になったサブリース。サブリースとは本来、転貸借全般を指す用語ですが、一般には収益不動産の一括借り上げのことをいいます。マンションやアパートなどの賃貸不動産の所有者が、空室リスクなどを避けるため、いったんサブリース会社に不動産を貸して、サブリース会社に客付けやら管理やらの面倒なことをやってもらおうというもので、多くの不動産オーナーが利用している仕組みです。ところが2019年、大手サブリース会社で問題になったのは、当初約束した家賃を、数年後強制的に『当初家賃から引き下げられた』所有者が全国で相次いだという事例です。所有者に銀行借り入れがある場合、家賃を引き下げられると「借入との収支がマイナス」になってしまう方も多く存在しています。あれから数年がたち、現在、全国のサブリース物件所有者の人たちには何が起きているのでしょうか。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
ワンルームマンション購入後は赤字続き
売却もできず苦しむ横浜在住の医師
横浜在住のお医者さんである佐藤さんは言います。
「熱心なワンルームマンションの営業マンに勧められて、2020年に立て続けに神奈川県にあるワンルームマンションを3室買いました。全額銀行借り入れで購入し、サブリースをつけています。本業が忙しいのですが、煩わしい管理などはすべてやってくれるということだったので、サブリースがいいかなと。もちろん、所得税の節税になるという話だったので、税金対策も兼ねて投資しました。営業マンから『これはお医者様専用の投資物件で、医師が自身で住みたくなるようなプレミアムな物件です』と言われ、なんとなく自尊心をくすぐられたのを覚えています」
しかし、購入してから3年間、収支は赤字。借金返済のため、半年ごとに一回、銀行にお金を別の口座から60万円ほど入金して赤字補填をしています。そのため年間の赤字補填額は120万円に上ります。