『情報メディア白書』(電通総研編 小社刊)は1994年から毎年刊行しているデータブック。新聞・出版から広告、携帯電話、通信販売業まで情報メディア全般にかかる14の産業を統計データを元に精緻に分析し、メディア関係者やマーケターの戦略立案を支えてきた。2月に発売した2013年版から、内容の一部をダイジェストで紹介する。第4回目の今回は携帯電話業界を展望する。
2011年度、スマートフォンの出荷台数は累計で 3000万台を超えた。従来、iモードのような国内携帯電話企業が運営する携帯電話専用 IPサービスとして成長してきた市場だが、スマートフォンの増加によって、その構造は急激な変化を遂げようとしている。
その理由は、スマートフォンの OSプラットフォームを運営しているのが国外の企業というところにある。このため携帯電話事業者がネットワーク、端末、プラットフォームを一括して管理してきた既存のビジネスからの転換に迫られているのである。
また、大容量の通信サービスも普及しつつある。2010年 12月に NTTドコモがLTE(Xi)を開始したのを皮切りに、その他 2社もサービスを開始し対応端末が続々と登場、2012年 9月に発売されたAppleの iPhone5もLTE対応となっている。大容量データの送受信が可能なスマートフォン時代を迎え、各社はそれぞれ新たな戦略を模索している。
2011年のモバイルコンテンツ関連市場は、1兆 9061億円(前年比 115.2%)となった。モバイル・コンテンツ・フォーラムは、2011年からスマートフォン市場の算定を開始しており、市場規模は 806億円とされた。その内訳をみると、ソーシャルゲームなどが全体の59.7%となっている。
2012年 5月に消費者庁は、ソーシャルゲームの課金システムの一つであるコンプガチャが景品表示法に違反している可能性があるとの見解を示し、その後、大手 SNS運営企業のグリー、ディー・エヌ・エーはコンプガチャを廃止することを決定した。また、6月には SNS運営企業 6社が組織したソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会が、「ゲーム内表示等に関するガイドライン」、「リアルマネートレード対策ガイドライン」および「コンプリートガチャ等に関する事例集」を公表するなど、ソーシャルゲームに対する自主規制、青少年等に対する啓発活動、カスタマーサポート品質向上のための活動に取り組みはじめた。